ガザ:「被害、女性と子供ばかり」…ハマス幹部は地下潜伏
毎日新聞 2014年07月11日 21時17分(最終更新 07月12日 18時11分)
【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)大治朋子】イスラエルの空爆にさらされるパレスチナ自治区ガザ地区の病院を訪ねた。医師らは「搬送されてくるのは女性や子供ばかりだ」と口をそろえた。
◇ガザ空爆、死者100人超
イスラエルとガザ地区を拠点とするイスラム原理主義組織ハマスの戦闘は11日で4日目を迎えたが、双方とも攻撃の手を緩めていない。ハマスやイスラム過激派の幹部はイスラエルが軍事作戦を開始した8日ごろから一斉に姿をくらまし、それほど多くの犠牲者は出ていない。代わりに今後、女性や子供の犠牲者はさらに増えるとみられる。
8日以降、ガザから発射されたロケット弾は計約600発、イスラエル軍の空爆は100回に達した。ガザの保健省によると、100人以上が死亡、670人以上が負傷した。イスラエル側の死者はなく13人が負傷している。
10日夕、ガザ北部の病院を訪ねると、ナエル・ジョマさん(14)が顔面血だらけで搬送されてきた。ジョマさんは隣家への空爆による衝撃で自宅が大きく揺れて転倒した。顔面や頭を強く打ち、ショックで涙ぐんでいた。近くのベッドには空爆の衝撃で飛び散ったコンクリート片が当たり左腕を骨折した男児が横たわっていた。
ガザを拠点とする武装組織は、規模が最も大きいハマスの軍事部門(約2万人)のほか、イランの支援を受ける「イスラム聖戦」の軍事部門アルクッズ旅団(約1000人)などがある。こうした組織がハマスと共闘してロケット弾を撃ち込み、イスラエルが反撃している。
アルクッズ旅団のアブ・アナス・アベド幹部(40)が住んでいたガザ市南部のアルゼイトーン地区の自宅は9日、イスラエル軍に空爆された。アベド幹部の父ムハンマドさん(60)ら家族13人は事前予告を受け、脱出して無事だった。
アベド幹部は、すでに1週間以上前から姿を消しているという。「どこにいるかは言えない。イスラエルからパレスチナを解放するために戦っている」。ムハンマドさんは、20年前に同旅団に入り幹部となった次男について誇らしげに語った。
イスラエル軍南部総司令官は10日、記者会見し「テロ関連機関を破壊している。戦闘員らが(隠れ家の)トンネルから出て来たら、破壊を目にすることだろう」と指摘。幹部が雲隠れして攻撃し切れずにいる現状を言外に認めた。幹部らは地下壕(ごう)のような施設に隠れ、実働部隊に指示を出しているとされる。