ベネッセ:子どもイベント秋まで中止…個人情報収集の根幹
毎日新聞 2014年07月12日 21時30分(最終更新 07月12日 23時39分)
通信教育大手のベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報約760万件が流出した問題を受け、同社は12日、全国で予定していた子ども向け主催イベントを、秋まで中止することを決めた。
同社ではイベントに参加した親子連れにアンケートを実施し、氏名や住所などを記入してもらうことで大量の個人情報を集め、新規顧客の開拓につなげてきたが、「社会的責任を取るまで、新規開拓の活動は自粛すべきだ」(原田泳幸会長兼社長)と判断。12、13日に首都圏や関西などで予定していた計14件のイベントもすべて中止した。
同社では、週末や連休などを中心に全国の動物園や博物館などでイベントを開催。クイズに答えたり、スタンプを集めたりした親子連れに文房具や鉄道模型などの記念品を配布する一方、アンケート用紙に氏名や生年月日、住所、電話番号などを記入してもらい、通信講座「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」などに未加入の個人情報を収集し、商品・サービスの会員勧誘目的のダイレクトメール送付などに利用してきた。
今回、流出が確認された約760万件の顧客情報について、同社では「流出は会員登録したことがある人の情報に限られ、アンケートに答えただけの人の情報は含まれない」と説明している。しかし、顧客情報の大量流出が明らかになった9日以降、過去にイベントへ参加した人などから「自分の情報は大丈夫か」などといった不安の声が11日までに4万8230件寄せられ、主催イベントの自粛を決めた。期間は「情報管理の安全性が確認できるまで」(広報部)としており、早くても秋までのイベントはすべて中止する方針。
社内の関係者は、イベント開催が「個人情報収集の根幹」と表現し、「大量の個人情報が集められる夏休みのイベント中止は大きなダメージになる」と説明する。原田社長は9日の記者会見で「必ず信頼は取り戻す」と強調した。【斎川瞳】
◇通信教育、稼ぎ頭
ベネッセの2014年3月期連結決算は売上高が4663億円。うち通信教育講座は1631億円と3割強を占める。最近は介護事業などの比率が高まっているとはいえ、通信教育事業は稼ぎ頭だ。また、「通信教育事業にとって、夏休みは、新学期の始まる春に続いて、新規加入の多い書き入れどき」(アナリスト)だ。だが、ベネッセは第2の書き入れ時に勧誘の手足を縛られた状態だ。