ガザ:イスラエル軍「地上戦を準備」 住民に退避促す
毎日新聞 2014年07月11日 11時54分(最終更新 07月11日 12時47分)
【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)大治朋子】イスラエル軍は10日、イスラエルとの境界に近いパレスチナ自治区ガザ地区中部東側の住民数千人に別の地域へ退避するよう警告を出した。イスラエルメディアが伝えた。また、イスラエル軍は10日までに予備役2万人を招集。軍広報官は同日、ロイター通信の取材に「地上戦に備えての招集だ」と話しており、空爆を継続してもガザからの砲撃が止まらない場合、地上侵攻もありうるとの見解を示した。
イスラエル軍は10日、ガザ地区で220回の空爆を実施。ガザの保健省によると、8日以降の死者は計90人に達し、600人以上が負傷した。ガザからの10日の砲撃は190発余りで、8日以降、イスラエルでは計3人が負傷している。
また、イスラエルのテレビ局「チャンネル2」はイスラエルが退避警告を出した狙いについて、地上戦でガザ中部の東側から侵攻する可能性があると指摘。一方で、地上戦が近いと印象付ける狙いもあるのではないかと伝えた。同局が最近行った世論調査によると、地上戦を支持しないと答えたイスラエル市民は47%で、支持すると答えた市民(42%)をわずかに上回った。
また、イスラエル軍広報官は10日、ロイター通信の取材に「現状では最大限の空爆を行うことに集中している」としたうえで、予備役を新たに6000人追加し2万人に増員した理由について「地上戦が必要となる可能性」も踏まえたうえでの判断だと述べた。
一方、パレスチナのアッバス議長は10日夜、演説し「どちらが戦闘を始めたかではなく、流血の事態をいかに防ぐかだ」と語り、双方に停戦を呼びかけた。また、ケリー米国務長官やトルコのエルドアン首相と対応について協議したと明らかにした。