2011年11月。オバマ大統領の次の一言から、米韓関係は「蜜月」となりました。
「「米韓同盟はより強固に」 米大統領、首脳会談で 」2011/10/14
オバマ大統領は会談前の歓迎行事で「米韓同盟はかつてないほど強固になった。自由貿易協定(FTA)によって両国はより近くなり、新たな雇用を生み出すとともに、世界の強力な経済国家として活力を維持していくだろう」と強調した。
それから3年近く。時には「日米関係より良好」とも言われた米韓関係が、突然揺らいでいます。
とはいえ実際は、もう随分前から米韓関係は冷えつつあったと思うのですが、韓国メディアはずっと「かつてないほど良好」と報道してきました。
しかし、その報道にもついに限界が来たようです。アメリカの調査機関ユーガブによる世論調査によって、韓国がそれほどアメリカに信用されていないことが判明してしまいました。ただ、この調査では、日本もあまり信用されてないことがわかったんですけど。
報道では、なぜかデータが足りなかったので、補足してお伝えします。補足データは、全てユーガブ(YouGav)のサイトからです。
「重要度では中・日・韓の順 米世論調査、「日本は同盟国」75%」
調査機関ユーガブが8日に発表した米国民の意識調査結果によると、日本、中国、韓国の3カ国で友好関係を維持すべき最も重要な国について、中国と答えた人が42%を占めトップだった。日本は25%、韓国は12%だった。
ユーガブは「中国を友好国と見なしているわけではなく、経済的台頭が理由とみられる」と分析した。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140709/amr14070915070011-n1.htm
アメリカが圧倒的に重要視するのは、中国だったという結果はちょっと驚きです。
まぁでも、ユーガブの分析にもある通り、今のアメリカにとって、経済的にも軍事的にも、そして良い意味でも悪い意味でも「重要な国は中国である」というのは、その通りと言えるでしょう。
それでも重要度が25%しかないと事実に、日本人はびっくりし、韓国人は12%しかないという事実にびっくりしているのでは、ないでしょうか。
集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定は、47%が支持し不支持の14%を大きく上回った。
元々集団的自衛権の解釈変更は、アメリカの要求でしたから、この点で支持がつくのはわかりきった話です。
が、賛成・反対以外の「無回答」が、39%もあったことは報道されていません。賛成、反対のどちらでもないということは、今後の日本の動向を、注視して判断するということかもしれませんね。
■友好度は、日本、韓国、中国の順
「同盟国または友好的」と日本を見なしている人は75%で中国は33%。「敵または非友好的」としたのは中国が48%、日本は10%だった。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140709/amr14070915070011-n1.htm
なんで韓国の情報がないの! って思ったのは私だけではないでしょう。で、ユーガブのサイトを確認したのですが、どちらも日本と中国の間という、さして違和感のない結果になってるだけでした。
国名 | 同盟国・友好的 | 敵・非友好的 |
日本 | 75% | 10% |
韓国 | 66% | 18% |
中国 | 33% | 48% |
日本人的には、別段不思議に思う結果でもないですが、韓国人にとっては意外かもしれません。
最近、慰安婦像がアメリカのあちこちに設置されている通り、日本はアメリカから非難を浴びていると報道されてきました。また、「かつてないほど良好」と繰り返してきた韓国メディアとしては、この結果は衝撃だったと思います。
とにかく韓国メディアの米韓関係の表記が変わったのは事実です。
北東アジアのこれまでの秩序は韓日米の三角協力だった。その協力の枠組みの解体が中国の目標だ。その枠組みの弱点が露呈した。韓日関係は最悪だ。日本の安倍首相の歴史挑発は暴走状態にある。韓米間は微妙だ。日本の集団的自衛権の攻勢はその気流を拡散している。 2014/07/10
http://japanese.joins.com/article/564/187564.html?servcode=100§code=120
韓米関係は、ついに微妙になりました。
特に、7月初旬の中韓首脳会議の顛末を受けて、アメリカから強烈な圧力がかかったのではないでしょうか。中国を手放しで受け入れたり、ウォン・元直接取引を宣言したりしたせいで、アメリカも遂に堪忍袋の緒が切れたと思われます。
■完全中立を目指す韓国の夢
過去、再三にわたり、日韓関係の修復を唱えてきた中央日報の金永熙(キム・ヨンヒ)国際問題論説委員。最新のコラムでは、これまでの米日韓同盟維持のスタンスから大転換を行いました。
【コラム】習近平式「中国の夢」を警戒する=韓国
習近平が投じたアジアインフラ投資銀行(AIIB)提案も、中国の提案だからといって賛成してもならず、米国が反対するからといって拒否してもならない。あくまでも韓国の国家利益に合う決定をする必要がある。韓国は米国の中国包囲網に参加してもならず、華麗な修辞で包装された習近平の中華民族の偉大な夢に誘惑されてもならない。米日中が争う北東アジアの大きな流れを読む戦略的な視野が求められる。
全体的な論調は、中国に騙されるなという警告の内容です。しかし結論まで読むと、なんとアメリカの対中戦略にも従うなと書いているんですね。
目指すのは、アジアの中立国家です。アメリカの庇護がなければ、吹き飛ばされてしまうというのが、日本人の韓国評でしょうし、地理的条件から行っても、中立なんて不可能な位置関係に見えます。
アメリカとの関係が悪化したとたん出てきた「完全中立論」。いったい何が起こっているのでしょうか? 韓国がどこまで本気で目指すつもりなのか、何か策があるのか注目です。
また、アメリカの方も、対韓国戦略について調整が困難になるでしょう。韓国が逆切れしないよう、緩急をつけた戦術が必要になるのは間違いありません。
一方、韓国と国交断絶状態の日本は、本来最も影響を受けるはずなのに高みの見物のような感じになっています。「粛々と東アジア各国との連携を深める」という、非常にシンプルな戦略を進めるしかありません。
まぁ、のほほんと日本を遊ばせとくつもりはないでしょうから、ひょっとするとアメリカから無理難題が降ってくるかもしれませんけど。
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