イスラエル:「ハマス拉致」少年不明で声明 ヘブロン封鎖
毎日新聞 2014年06月16日 10時44分(最終更新 06月16日 12時52分)
【エルサレム大治朋子】イスラエル占領下のヨルダン川西岸パレスチナ自治区へブロンで12日夜から10代のユダヤ人少年3人が行方不明になっている問題で、イスラエルのネタニヤフ首相は15日、「(イスラム原理主義組織)ハマスのテロリストが少年たちを拉致した」との声明を発表した。イスラエル軍は同日、数千人の兵士でへブロン一帯を封鎖。ハマス関係者の立ち回り先などを急襲し、80人を逮捕した。
イスラエルのハーレツ紙などによると、へブロンのハマス関係者2人の行方が13日から分からなくなっている。イスラエル軍が自宅を捜索し、家族を拘束して調べた結果、「ハマスの犯行」と判断した模様だ。ハマスは関与を否定している。
少年3人のうち1人は米国人。ケリー米国務長官は15日、容疑者について「詳しい情報を収集中」としたうえで、「ハマスの関与を示唆する兆候が見られる」と述べた。
ハマスは、穏健派ファタハ中心の自治政府と暫定統一政府を発足させたばかり。イスラエルはハマスを「テロ組織」と非難し、統一政府の樹立に激しく反発してきた。
事件発生から丸3日たった15日夜、エルサレム旧市街にあるユダヤ教の聖地「嘆きの壁」前には約2万5000人が集まり、3人の無事を願い祈りをささげた。子供3人を連れて訪れた女性医師のキャロライン・ベンショサンさん(50)は「何の罪もない少年たちを襲うとは卑劣な犯罪だ。イスラエルの占領が理由だなどと言い訳はできない」と怒りをあらわにしていた。