号泣県議辞職:姿見せず、説明責任果たさぬまま
毎日新聞 2014年07月11日 22時52分(最終更新 07月12日 12時09分)
世界的な話題にまでなった「号泣会見」から10日。政務活動費の不自然な支出が次々と明らかになり、11日に辞職した野々村竜太郎・兵庫県議(47)=西宮市選出=は県議会の調査に「世間を騒がせた。責任をとって辞任したい」と述べた。明確な説明を拒み、取材を避けていた野々村氏。この日も県議会に姿を見せず、説明責任を果たさないまま県議の座を投げ出した。
議会事務局によると、野々村氏は11日午前11時15分、神戸市の県庁近くにある県私学会館に姿を見せ、県議会の聞き取り調査に臨んだ。薄い青色の半袖シャツにグレーのズボン姿。9日の聞き取り調査時よりも落ち着いた様子だったという。
約45分間の聞き取りの後、丸山善幸・議会事務局次長が「説明責任が果たされたとは言えない。誠実に対応したとは思えない」というと、野々村氏はうなずき、辞職願に署名した。
調査では、3年間で345回に上った出張を「間違いない」「全て事実」と言い張り、年度末の大量のはがき・切手購入についても「政活費を使い切らないといけないと考え、返還すべきだったが消費した」と強調した。
購入品の転売や換金は「一切行っていない」と否定したが、具体的な証拠や購入品の所在を問われるとうつむき、声が小さくなった。初当選以降の政活費1834万円全額を返還することを約束した時には「複数の銀行から預金を下ろす」と説明したという。
野々村氏は出張の領収書を添付せず、運賃などを自己申告する支払証明書の添付で済ませていた。この点について、約100人の報道陣を前に記者会見した松本隆弘副議長は「悪用できるようになっていたのかなと感じる」と述べ、緊急時に領収書不要とする運用を悪用した可能性があるとの見方を示した。
県警への刑事告発に踏み切った経緯については「議会の調査だけでは限界がある」とし、全額返還の意向を示したため詐欺罪での告発は見送ったと説明した。
野々村氏は疑惑が浮上した1日に兵庫県庁で記者会見。終盤に号泣しながら持論を展開する姿がインターネットを通じて世界に拡散した。以後は一切の取材を拒否し、7日の各会派代表者会議に呼び出された時には貨物用エレベーターで報道陣を避けた。
この日の県議会の調査も、本人の「マスコミに見つかりたくないので県庁に行きたくない」との意向で、終了後まで会場が伏せられた。【神足俊輔、後藤豪】