STAP論文:ネイチャーの論文撤回理由 若山氏が修正
毎日新聞 2014年07月11日 06時20分
STAP細胞論文の不正問題で、責任著者の一人の若山照彦・山梨大教授が、英ネイチャー誌のウェブサイトに7月2日に掲載された論文撤回理由について、掲載直前に内容を修正していたことが分かった。若山教授の研究室に残っていたSTAP幹細胞について「若山研究室になかったマウスに由来する」との記述を削除した。若山教授は6月16日の記者会見で同様のことを述べていた。
若山教授は毎日新聞の取材に修正を認めた上で、小保方(おぼかた)晴子・理化学研究所研究ユニットリーダーが作製したSTAP細胞が、若山教授から提供されたマウスとは異なるマウスに由来するものだったとする会見での説明の根幹部分に変更はないとした。一方で、修正内容を公表しなかったことについて「不確かな内容を発表すれば混乱を招くと判断した。詳細な事実が分かり次第、改めて報告する」としている。
若山教授は先月の会見で、細胞を光らせる遺伝子を挿入した場所について、小保方氏に渡したマウスは18番染色体だったのに、STAP細胞として戻ってきた細胞は15番染色体だったと考えられるとの第三者機関による解析結果を公表。若山教授は「僕の研究室から提供するマウスでは絶対にできない結果」と話していた。
若山教授によると、その後、別の研究者からの指摘で挿入場所が15番染色体とは限らないことが判明。ネイチャーに依頼し、論文撤回理由の該当箇所を修正したという。また、修正後の理由に「遺伝子を挿入した場所は、若山研究室にあったマウスやES細胞と一致する」との記述があるが、「修正時に意図せずに残ってしまった文章」としている。【斎藤広子、須田桃子】