経済の死角

この国は俺たちのためにある そこどけ!財務省「花の54年組」4人衆のお通りだ

加藤勝信・木下康司・香川俊介・田中一穂

2014年07月11日(金) 週刊現代
週刊現代
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アベノミクスに陰りが見え始めた。政府は「骨太の方針」を発表したが、マーケットの反応は薄い。一方、来年にはさらなる増税が国民を襲う。民意不在の政策の背後に、高笑いをしている奴らがいる。

消費増税の立て役者たち

日本の中枢が、ただ一つの世代に握られた。ともに'79年に大蔵省(現・財務省)に入省した「花の昭和54年組」が霞が関の実権を握り、国家財政を我が物にしようとしているのだ。

それを盤石なものとするために財務省が画策し、安倍晋三総理、麻生太郎財務大臣に認めさせたのが、同期3人で財務省事務次官のポジションをたらい回しにする「超異例」の人事である。

この7月に現事務次官の木下康司氏(57歳)が退任し、その後任に現主計局長である香川俊介氏(57歳)が昇格する人事が内定した。そして香川氏の次の次官候補として、現主税局長の田中一穂氏(58歳)が、主計局長にスライドする。

この異例人事の背景にあるのは、財務省の宿願である「消費増税」に他ならない。全国紙経済部デスクが解説する。

「財務省が財政の立て直しを必死で訴えて、増税に邁進しているのは、自分たちの影響力を保持するためなのです。たしかに国家財政の立て直しという大義名分がありますが、それならば歳出の削減で対応してもいい。しかし、財務省が歳出カットに熱心でないのは、政治家にも他省庁にも煙たがられるだけだから。

それよりも増税で歳入を拡大できれば、差配できる予算が増えるため、霞が関や永田町に、より大きな影響力を行使できる。たとえ『増税の黒幕』と非難されようと、財務官僚にとっては『予算配分の権限を広げる歳入拡大こそが至上命題』というわけです」

その結果、国民がさらなる血税を搾り取られようと知ったことではない。財務省の権限が広がればそれでいいというのが、彼らの思考回路なのである。

たとえば、現次官の木下氏は、民主党政権時代に3党で合意していた消費増税路線を、改めて安倍政権に実行させたことで(霞が関では)評価されている。

木下氏は次官退任後、財務省顧問に就く。が、今秋に安倍総理が決断すると見られる消費税10%への引き上げを実現させるために水面下で政界工作に当たり、香川新次官体制をサポートする構えだ。

その香川氏は財務官僚の中でも「突破力で群を抜く」(財務省有力OB)との触れ込みで、若い時から「将来の事務次官」と目されてきた。

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