2014年07月12日

なぜ私は、ガザ攻撃について現地の情報をRTすることをやめたか。

昨日、「何十年前の骨董品だよ」(誇張表現)という印象を受けるような画像が回ってきた。現在のウクライナ情勢についての記事を読んでいるときに、「ソ連」だの「チェコスロバキア」だの「ユーゴスラビア」だのといった資料を見せられる気分というか……つまり、完全に的外れというわけではないが、決定的に、古い。

そしてその画像には、ソース(出典)も示されていなければ、その画像がいつ作成されたものか(その画像のベースとなっている情報はいつのものか)も示されていない。おそらく、ちゃちゃっとウェブ検索してすぐに見つかったものを右クリックで保存してツイートしているのだろう。まじめにこの問題を考えているのなら、こういう雑な情報の出し方はできないはずだ。

(そんないい加減なことはしていない、考えがあってやっていると言うのなら、BDSについて説明してみ。)

1件や2件ならスルーしていたかもしれないが、同種のものが何度もRTされてくる。今回のガザ攻撃で、「ガザについてツイートすること」がある意味fashionableになってるから(とかいう言葉遣いをするとまたガミガミ言われるんだろうな。「ある意味」も読もうとしない人によって)、そういう、なんと言うか、「意識高い」系が宝石だと思って錆びたガラクタをがんがん投げてくる状態。

たまりかねて次のように述べた。







そうしたらとんでもない目にあったのだ。そしてその結果、私はガザ攻撃について現地の情報をRTすることを、やめた。記録のため、そして大変困難な状況に置かれている人々を個人として明確に支持し支援するためにやってきたことを、やめた。最悪の場合、逆に彼らを危険にさらしかねない。

何があったのか。まず、問題の画像を回覧している人(アノニマス系アカウントのひとつ)によって、mentionを埋め立てられるようなことになった。まあ、これはミュートしておけばいい。ああいう画像をソースも示さずいつのファイルかも添えずに垂れ流すような無責任アカウントで、衝撃のためなら翻訳は不正確でも別にいいという無責任なスタンスらしいから、相手にするだけ時間の無駄だ。アノニマスのあの反体制気取りの(しかし実際には大企業の商品、いわゆる「資本主義の豚」以外の何者でもない)お面のアバターのアカウントがやることは、アノニマスのコミュニティに任せる。

つか、もういちいち相手にすんの疲れるから言わなかったんだけど、アノニマスと称する連中が使ってるお面、映画『V for Vendetta』の登場人物のお面なんだけど、この映画ってタイム・ワーナーなのね。お面が売れるたびにタイム・ワーナーの儲けになるわけっすよ。んで、このお面を作ってるのは中国の大量生産の工場で、労働者は奴隷的な状況に置かれている、ということも連中は都合よくシカトして、「反体制のヒーロー」気取りなわけっすよ。ばかばかしい。それはともかく、このタイム・ワーナー、あの界隈の最も古くからある「まとめ」のページ(下記)では、イスラエル支援企業としてボイコット対象なんっすよね。
http://www.inminds.co.uk/boycott-aol.php

検索しただけでこんなのも出てくるんですよ。

Time Warner Investments Presents at 5th Annual Israel Dealmakers Summit 2013, Mar-06-2013 10:20 AM
Feb 13 13

Time Warner Investments Presents at 5th Annual Israel Dealmakers Summit 2013, Mar-06-2013 10:20 AM. Venue: New York Marriott Marquis, Times Square, 1535 Broadway, New York, NY 10036, United States. Speakers: Scott Levine, Managing Director and Vice President.

http://investing.businessweek.com/research/stocks/private/snapshot.asp?privcapId=437736

こういう企業にロイヤリティの入る映画のキャラクターのお面を「シンボル」として使っておいて、「イスラエル支援に反対しよう」。まったく、「アノニマス」の笑止千万劇場は終わらないね。

ま、彼らのことは彼らの身内に任せておけばいいんだけど、次のは私の問題だ。

上で参照した私のツイートに、こんなリプライが来た。別に「さらしたい」わけではないので以降、アカウント名などは伏せる。

noh01.png

このように、先方はいったん「異議はない」と述べたことについて、勝手に頭ぐるぐるしちゃったらしく(私の責任ではない)、いきなり蒸し返しだした。正直、こっちは何を言われているのかわからない。

ちなみにこの時間帯、私の目は北アイルランドに釘付けだ(毎年のことだが7月12日の「プロテスタントのお祭り」の前日で、11日の「ボンファイア・ナイト」の日で、既にプロテスタントからカトリックに対する挑発は先週からたくさん報じられていて、なんと言うか、非常に心配なムードだったのだ。結局、さほどエスカレートはしなかったのだが)。他人が勝手に混乱していることなど、基本的に「私の知ったことか」だ。

それだけなら放置しておけばいいのだが、問題は、先方が "「この界隈は予備知識のない人が正義感だけでは手を出せないことがたくさんある。」という1行が、世界中の親イスラエル勢力に加担してしまう" などと書いていることである。(カギカッコ内は私の記述のコピペ。)

これは、「あなたのその発言は、あなたがイスラエル側に立っているということになりますよ?」という恫喝である。恫喝でないにしても、誹謗中傷の意図はあるだろう――というと大げさだとか考えすぎだとか言われるかもしれないが、ネット界隈では、「言論の自由は守られねばならない」という教科書どおりの発言をしたら「ヘイトスピーチ擁護者だ」とののしられるのがデフォである。「日本国憲法では法の下の平等が保証されている」と述べたら、「世の中に現存する差別を認めない差別主義者」と言いふらされたこともある。














そのあとはこうなる。

noh02.png

「同情」だの、「善意の第三者」だの、「爆撃の写真」だの、こっちが言ってもいないことをぽんぽんぽんぽんぶつけてくる。

何なのだ、これは。。。

私は、基本的に、「出典を明記せず、ファイルがいつごろ作成されたものかも述べずに、アクションを呼びかける画像をばら撒くべきではない」、「翻訳が不正確すぎる」、「おまえらがばら撒いているこの画像が途方もなく古いということがわからないようなら、半年ROMれ。話はそれからだ」ということを述べただけだ。そのアクションの方向性の是非はまったく問題にしていない。アクションの呼びかけに使っている画像が古いということを把握しているのなら伝えるべきだし、把握できていないのなら、もうちょっと勉強してから出直せ、ということだ。

「というか画像の出典示せないのなら回すな、ってことなんだけど」と書いているのが、読めないのだろうか。正義感に駆られて、今はまったく有効ではないかもしれない資料を、その有効性が第三者に確認できないような形(出典URLを示さない形)で拡散するな、という話だ。しかもこれは「アノニマス」系がぽんぽん回してくるものに向けて言っていることで、絡んできた人には関係ない。

「正しい」だの「悪」だの、何の話だ。私は情報が「正しいか誤っているか true of false」は重視するが、「悪」の対義語としての「正しい」は持ち出していない。そもそも「イスラエルは悪だからパレスチナを支持する」という話は、私は、していない。(他人がするのは、勝手にどうぞ、というだけだ。俺を巻き込むな!)自分がそのように理解している/理解したいからといって、他人を巻き込むんじゃない。




しかも、「あなたがリツートした爆撃の写真をリツイートする善意の第三者は間違っていない、かどうか?」とまで言ってくる。それは何、その「爆撃の写真」にあなたが衝撃を受け、怒りを覚え、同情を感じるなどしてRTしたからといって、私が「あなたが衝撃を受け、怒りを覚え、同情を感じるなどしたこと」について「正しさ」を保証すべきである、ということか。「正しきもの」を指し示してくれる教祖様がほしいなら、よそ行ってくれないか。

(その「爆撃の写真」がニセ写真かどうかではないよね。私がRTしたものなら、あなたが元のツイッターユーザーのところで確認できるだろう、あなたがRTする前に。そもそも私がアノニマス系の画像について指摘したのは、そういう「参照可能性」のことだ)




noh03.png
以上、画像は via https://twitter.com/nofrills/status/487585801513881600

常に、このような言いがかりをつけられるかもしれないというストレスのもとに置かれることを私は望まない。

「国際法違反」の《事実》の報告の記録をし、同時に、「彼らのことば」をRTなどすることで「彼らのことば」に聞き手がいるということを彼らに伝える、という、私は私なりにすべきであると感じた人道支援活動を個人として(団体の一部としてではなく)やってきたのだし、実際にそれができるからやってきた。

しかし、こんな、すべてを他人におっかぶせて(「あなたがRTしたから、私もRTしたんですよ」的な)、挙句、的外れな言いがかりをつけてくるような人の実在を知らされた以上、もう無理だ。限界を超えた。



※最悪の場合、そういうところでトグロを巻いてるような人たち(反ユダヤ主義者)が、「隠れシオニスト」と彼らが判定する人物がRTしているからという理由で、パレスチナのツイッタラーさんたちを攻撃し始めることもありうるんですよね。「理性的思考」が通用しないところでは。

noh04.png
via https://twitter.com/nofrills/status/487600885711663107
※なんか自分の言葉をかみ締めなおすなどして独り言をいっていらっしゃるようですが、なら他人のリプライ欄を埋めないでもらえますかね。これは、何年も前に対応した「掲示板・コメント欄荒らし」とパターンが酷似しているので(他人の場所に表示される状態にしておいて、自分の発言に自分でツッコミを入れだす)、相応の策を講じる。私は荒らしやスパムに発言の場を与えることを潔しとしない。

というわけで……





※情報を共有したい人は、他人に頼らず、自分でいいと思った情報をRTすればいいんじゃない? 誰だってアクセス可能な情報なんだから。
https://twitter.com/nofrills/lists/gaza-nov2012



イラン大好きな人が、こっち見てることは把握してます。


posted by nofrills at 17:30 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war
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個別のご挨拶は控えさせていただいておりますが、
おひとりおひとりに感謝申し上げます。


【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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EXPOSING WAR CRIMES IS NOT A CRIME!


詳細はてなダイアリでも少し。