初心者がプログラミングの本質的な「楽しさ」を体験するのに最適な言語
──これまでも、ビジュアルプログラミング言語はありましたよね。
花田:僕は芸術工学部で、Max/MSP/Jitterを学び、それでビジュアル言語に興味を持ち、Quartz Composerや、LabViewやいろいろなビジュアルプログラミング言語は見ました。また、SmalltalkのSqueak上で構築された、EToys、Scratchなどの教育目的の言語もたくさんあります。
そのようなビジュアルプログラミング言語では、UIなどの言語インターフェースがより重要になると思います。しかし、僕らが扱かってきた言語の多くは、インターフェースが洗練されてないように感じました。そこで、より良いインターフェースを考えFlowerを改良していきました。また、タッチデバイスなどが普及してきているので、それにも最適化したUIも考えました。
部谷:スマートデバイスが普及するにつれて、いつでもどこでもプログラミングできる環境が整ってきました。僕なんか、アイデアがひらめいたら歩きながらでも、コード書きたいほうですからね。
──「Flower」は、そうしたニーズを満たす、あるいは補うものになりますか。
花田:ほんとはこれで、iPhoneアプリなんかをサクッとかけると、「おお、すげえ」ってことになると思うんですが、そこまでは無理もうちょっと時間がかかる。ただ、そもそもプログラミングとは楽しいものであって、それがプログラミング初心者でも簡単に体験できる言語であるとは思います。むしろ、プログラミングの本質を離れた辛いところを極力排除しようと思っています。
福岡のハッカー文化から生まれた。世界の共通基盤に育てたい
──今後、「Flower」のビジネスをどんなふうに発展させていきたいですか。
部谷:基本は、企業や個人の開発目的に合わせてインターフェースを僕らがカスタマイズし、それをライセンスして、そのフィーを僕らがいただく、というビジネスモデルが考えられます。ジャストフィットする分野としては、大量のデータセットがあらかじめあるようなデータマイニングの分野。その処理系に「Flower」を使ってもらうのは面白いと思います。
お客さんから仕様だけいただいて、僕らが「Flower」で開発して納品するという、受託開発もありだとは思うけれど、できたらこういう受託ビジネスは避けたいところです(笑)。
そもそも僕らはできたばかりの会社でお金がないですからね、宣伝もソーシャル・マーケティングで、つまりお金をかけないでいきたいです。
──「Flower」が東京ではなく、福岡から生まれたというのも面白いですね。
部谷:福岡って結構プログラマの勉強会が盛んなんですよ。僕と花田が仲良くなったのも、勉強会を通してでした。花田は今も勉強会を主催したり、そこでレクチャーしたりします。「Flower」もまた、そういう福岡のハッカー文化から生まれたと言えるかもしれません。会社を作ってからも、福岡の仲間たちがボランティアベースで実装を手伝ってくれたりします。
ただ、ローカルなままでは終わらせたくない。プログラミング言語というのは、大げさにいえば、人類にとっての共有資産ですから、世界中のプログラマたちの共有財産になることを目指しています。
言語開発はプログラミングの延長。もっと競争することが大切
──第二のRubyを目指す、ということですか。
部谷:いえいえ(笑)、でも本音のところではそれに近い思いがありますね。
そもそも、言語を作ると言ったって、それほど別世界の話じゃないと僕は思うんですよ。言語開発は、プログラミングの延長にあるものなんです。
花田:言語とか開発ツールというのは、もっといっぱい出てきて競争するべきだよね。その競争があって初めて、ソフトウェア開発がもっと楽になっていくわけだから。
部谷:僕が言いたいのもそこ。プログラミング言語を提供して、開発者というユーザーの抱える問題を解決したい、そのためのサービスを提供したいというのが、一貫した僕の思いです。最近は、サーバーサイドに開発環境をセットして、使いたいときに使いたいだけそれを利用する「バックエンド・アズ・ア・サービス(BaaS)」という考え方がありますが、僕らがやりたいのもそれなんですよ。
──「Flower」や会社が今後伸びていくためには、どんな環境があったらいいと思いますか。
花田:「Flower」は「福岡ビジネス・デジタル・コンテンツ賞」で本格的なデビューを果たしたわけですが、こうしたビジネスコンペはこれからも大切にしていきたいですね。できれば、そのコンペの審査員には、プログラムのわかるハッカーがもっと入って欲しい。
米国西海岸には技術がわかるベンチャーキャピタリストがたくさんいて、その技術の可能性を即座に見抜いて投資してくれる、という話を聞くといつもうらやましいです。
──「Technical Rockstars」という社名自体が、アメリカのハッカー文化を意識しているわけでしょう。今後は海外への拠点進出もあるのかな。
部谷:僕らのプロダクトは世界中の人に使ってほしいけど、会社の拠点としては福岡にこだわりたい。九州大学との連携というのも大きな強みだと思うし、なによりここは美味しいものがたくさんあって、東京よりたぶん暮らしやすいですからね(笑)。
⇒(前編を読む)データの流れが見える新プログラミング言語「Flower」を開発した学生プログラマたちが目指すこと
Flower言語でフィボナッチ数列を作ってみよう!
今回インタビューに協力してくれた花田さんから、Flower言語に関する問題を出題してもらいました。ぜひチャレンジしてみてください!
- 問題挑戦はこちらから
- 挑戦受付締切:2014年4月14日 AM10:00
1989年福岡市生まれ。九州大学芸術工学部音響設計学科在学。福岡Haxe勉強会主催。Unity Fukuoka主催。個人で受託開発し学費を賄う。DSL勉強会で部谷氏と知り合い、Technical Rockstars設立に参加。CTO就任。
ブログ:nobkzのブログ
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1988年福岡市生まれ。九州大学大学院システム情報科学府在学。2010年度未踏ユース採択、IPA認定スーパークリエータ。2012年、株式会社Technical Rockstars設立。CEOに就任。