アングル:終わりの見えない中国の汚職捜査、経済への悪影響も
[北京 9日 ロイター] - 習近平国家主席が昨年打ち出した汚職撲滅の方針が多くの中国政府高官に恐怖心を植え付けた結果、彼らはトラブルに巻き込まるようなことは一切回避するようになり、大型の公共事業の認可を遅らせたり、早期退職を願い出る者も出ている。
捜査の対象となった一握りの国有企業幹部は自殺にまで追い込まれた。
一般大衆は普段、こうした取り締まりを疑い深い目で見ており、今回の汚職撲滅キャンペーンは大成功だった。しかし、官僚や政府関係者によると予期せぬ結果も招いた。経済改革を推進し、政府機構の運営を担うと見込まれていた高官らが、余計な注目を集めることを恐れるあまり消極的になっているというのだ。
彼らが恐れる理由の1つは、習主席の1年半にわたるキャンペーンの勢いが一向に弱まる兆しがないためだ。中国共産党は先週、軍制服組の最高幹部だった共産党中央軍事委員会の前副主席が、収賄に関与したとして軍法会議にかけることを決めた。
もう一つの理由は、政府調達、エネルギーや建設部門、また土地使用権や鉱業権の付与などをめぐる汚職が中国社会に蔓延しており、多くの政府高官が次は自分たちに捜査の手が及ぶ可能性があることを知っているからだ。
習主席が2002年─07年まで党委員会書記を務めた東部沿海部の浙江省の政府高官は「反汚職運動は経済的に大きなインパクトがある。地方政府の高官はもはや投資プロジェクトを開始しようとせず、おとなしくしている。人々は他の政府キャンペーンと同様に短期的なもので終わると考えていた」と話した。
<恐れと不安>
汚職撲滅運動が一部の政府高官の生産性低下の唯一の理由ではないのは明らかだ。 続く...