[ 目 次 ]      月刊・お好み書き 2003年5月号


文福のおいやんストーリー

有馬の宴でアリ?マー!!


 不景気風が吹く中も、おかげさんでけっこうお座敷がかかります。私は、自称「エンカイティナー」。東西落後界約七百人中唯一の河内音頭取りだし、相撲甚句やドンパン節も歌うしね(どんな噺家や!!)。
 そんな私の芸が買われて、先日漫才のB&Bの島田洋七さんから声がかかりました。
 「もしもし、久しぶりやなー、元気か? 俺の知り合いで山田ふとん店の専務がいてんねん。有馬グランドホテルでの慰安会にゲストで来て欲しいて頼まれたんや」
 「そうでっか、うれしいですわ、よろしゅうたのんますわ。洋七さんの顔もあるやろうし、うちの一座のメンバーを連れて行って、ギターや太鼓を入れて河内音頭で盛り上げまっさ」  「いやいや、そんなに大層にしてもらわんでも、一人で来て軽く一席やってもろたらええんや」
 さて日が近づいたので、ホテルの宴会係さんにTELをして山田ふとん店さんの事や宴会の内容をお聞きしようとしましたが「いや、あまり詳しい事は知りません」とのお答え。当日、早めに行って打ち合わせをしょうと弟子のまめだ君に会場へ行かせましたが、「お客様はゆっくりお食事をされてますので、こちらがおよびするまでお部屋でひかえていて下さい」。
 なんや落ち着かん状態で着物に着替えていましたら、洋七さんがやって来て、「山田ふとん店の幹部ばっかり十数人にコンパニオンがついてる小さな宴会や、俺が先にどん帳の前で司会するわ」。
 「皆さん、こんばんはー、文福さんの落語でごゆっくりー」
 チャカチャンリンチャンリン、出囃子と共にどん帳があがると「まってました!!」
 「えー、一席のおつきあいを…」
 と客席を見ますと、温泉の浴衣姿の皆さんがなぜか手ぬぐいでほおかむりをしています。落語を早めにきりあげ、宴会芸の河内音頭を唄いましたら、皆、いっせいに立ち上がって踊り出し、大にぎわい。
 そして皆さん手ぬぐいをとったらガビ〜ン、そこにあらわれましたのは、コメディー?1の前田五郎師匠、吉本新喜劇の池乃めだかさん、島田一の介さん、B&B洋七、洋八さん、ザ・ぼんちのおさむ、まさとのご両人、今いくよくるよのお姉さん、大平シロー君、オール巨人阪神君、超売れっ子の島田紳助君、私の弟弟子の小枝君、若手の華丸、大吉君、何が山田ふとん店や!! 吉本のバリバリばっかりや!!
 以前はぼやき漫才の人生幸郎師匠が会長で「花月会」という吉本の芸人さん達の楽しい宴会がよくありましたが、今や芸人の気質もかわったみたい。
 そこで久しぶりに楽屋の修行仲間が集まろうや、それならゲストを呼ぼうとなり、私をおよび下さったのです。一門の新年会の時も、小枝君は私に内緒にしていたのです。
 吉本をはなれて十五年…。お客が仲間とわかった後もなつかしい芸人さんの名前や思い出をおりこんで音頭や甚句と芸をやりたおしました。
 「イの一番に文福を指名した。思った以上に 盛り上がった。この企画は大成功!! 久しぶりに君と飲めてうれしかった…」と後日写真と手紙を下さった前田五郎師匠。約束通り「山田ふとん店」としてギャラをくれました(全員のカンパで…)。
 次回は会費を払ってぜひ参加したいものです。やっぱり楽友(楽屋の友)はええもんやな〜。ウルウル〜。


吉本のバリバリに呼ばれた有馬の宴。全員で記念写真。筆者(後列右から2人目)だけ仕事用の紋付き姿、トホホー




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