阿部彰芳
2014年7月11日18時35分
低コストで安全性が高いマグネシウムを使い、従来の電池より多くの電気をためることができる新しい電池を京都大などのグループが開発した。材料を工夫すればさらに性能を上げられる可能性があり、電気自動車(EV)などへの応用が期待される。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに11日発表した。
現在、スマートフォンやEVなどの電池に多用されているリチウムの融点は約180度。一方、マグネシウムは埋蔵量が豊富で、融点も650度と高く、電池が高温になっても破損する危険性が低いとされる。材料に使えれば、低価格で安全性が高い次世代電池につながると見込まれている。
京大の内本喜晴教授(電気化学)らは、電池の電極を浸す液体と新素材のプラス極を開発。マイナス極にマグネシウムを組み合わせ、1キログラムあたり約250ワット時の容量を実現した。高性能のリチウムイオン電池の同約200ワット時を上回り、材料費も約1割に抑えられるという。
内本さんは「最適な材料を開発して数年以内に300ワット時を目指したい」と話す。ただ、一度に流せる電流が少ないため、瞬時にパワーを発揮する能力はリチウムイオン電池より低く、EVに用いるにはさらに改良が必要だという。(阿部彰芳)
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!