時間や存在を扱った作風で「コンセプチュアル・アート(概念芸術)」の第一人者として国際的に高い評価を受けている現代美術家の河原温(かわら・おん)さんが10日までに死去していたことが分かった。81歳だった。河原さんの作品を扱う米国のディビッド・ツバイナー・ギャラリーが明かした。死因などは遺族の意向で公表されていない。

 愛知県刈谷市出身。閉鎖空間の身体像を鉛筆で描いた「浴室」シリーズなどで注目された。60年代半ばからニューヨークを拠点に活動し、1色に塗られたキャンバスに日付だけを記した「日付絵画」などで知られた。メディアにはまったく登場せず、動静や私生活が不明の芸術家として知られていた。

 作品の一つに「I AM STILL ALIVE」(私はまだ生きている)というコンセプチュアル・アートがあり、自身のものとみられるツイッターでは同じ言葉をほぼ毎日、ツイートしていた。

 98年には東京都現代美術館で大回顧展。ニューヨークのグッゲンハイム美術館でも来年、回顧展が予定されている。(ニューヨーク=真鍋弘樹)

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 〈建畠晢・京都市立芸術大学長の話〉 「日付絵画」を一貫して手がけ、世界の現代美術の中心にあり続けた。作品も、国内外の主立った美術館に所蔵されている。制作においても私生活においても類例がない偉大なアーティストだった。