子どもを含む大量の個人情報が教育産業の大手企業から流出していたことがわ…[続きを読む]
国土交通省が「国土のグランドデザイン」をまとめた。「2050年を見すえ…
国土交通省が「国土のグランドデザイン」をまとめた。「2050年を見すえ、国土づくりの理念を示した」という。
今は全体の半分近い18万平方キロメートルに人が住むが、人口減少がこのまま進めば50年には居住地域の2割が無人となり、人口が半分以下に落ち込む地域も4割に及ぶ。
出生率の低い東京への一極集中が続くと、少子化と地方の過疎化に同時に拍車がかかり、首都直下地震が起きれば国家存亡の危機を招きかねない。
そんな分析と危機感が出発点となっている。
市街地の集約と、それを交通網や情報網で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」。防災も視野に、太平洋側だけでなく日本海側も重視する国土計画……。
いずれも必要な視点だろうが、国交省がまとめただけに、インフラ整備を通じて国土を形成しようとする考え方は相変わらずだ。
一方、グランドデザインには注目すべき点もある。
「東日本大震災後の、若者らの『田園回帰』とも言える人の流れを、持続的な地域づくりにつなげていけるかが課題」
「各地域が多様性に磨きをかけることが地域間連携の基礎。個人やNPO、企業など様々なプレーヤーが地域づくりにかかわり、協働する時代へ」
インフラ整備ではなく、地域の維持に不可欠な資源や人材、資金など、いわば「ソフト」基盤を充実させる発想だ。すでに自治体の最前線では、こうした考えに基づいた町づくりが広がりつつある。
島根県の離島の町、海士(あま)町は地元の海・畜産物のブランド化と並行し、地元の高校への「留学」や、海士町とは無縁の社会人の「Iターン」を全国に呼びかけてきた。今では2400人弱の町民のうち移住者が1割超を占め、町おこしに一役買う循環を作り出している。
海士町だけではない。過疎指定を受けながら「転入超」の自治体は他にもある。
成功の秘訣(ひけつ)は何か。各地の取り組みを促し、広げるために、国が果たすべき役割は何か。
こうした点を突き詰めれば、成熟国家に必要なグランドデザインへとつながるはずだ。
安倍政権は「地方創生本部」を立ち上げ、地方自治体の活性化に本腰を入れるという。来春の統一地方選を意識した小手先の対策でお茶を濁すのではあるまい。グランドデザインに盛り込まれた新たな視点を生かし、省庁の縦割りを排した取り組みに知恵を絞ってほしい。
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