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61歳記者、徘徊役で気づいたこと 認知症捜索訓練ルポ

夜光のたすきには名前と住所を記した紙を貼った夜光のたすきには名前と住所を記した紙を貼った

靴のかかと部分にも名前を記した靴のかかと部分にも名前を記した

徘徊捜索訓練で住民に協力を呼びかける区長の石川恒雄さん=1日、岡山県和気町泉、長崎緑子撮影徘徊捜索訓練で住民に協力を呼びかける区長の石川恒雄さん=1日、岡山県和気町泉、長崎緑子撮影

訓練中に住民から声をかけられる「徘徊役」の阿部治樹記者=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影訓練中に住民から声をかけられる「徘徊役」の阿部治樹記者=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影

訓練に「徘徊役」で参加し、町内を歩く阿部治樹記者=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影訓練に「徘徊役」で参加し、町内を歩く阿部治樹記者=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影

行方不明になったお年寄りについて書かれる要救護者情報シート。訓練に「徘徊役」で参加した阿部治樹記者の特徴が書き込まれた行方不明になったお年寄りについて書かれる要救護者情報シート。訓練に「徘徊役」で参加した阿部治樹記者の特徴が書き込まれた

訓練後の反省会では、参加者が「できなかったこと」をチェックシートに書いた=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影訓練後の反省会では、参加者が「できなかったこと」をチェックシートに書いた=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影

訓練後、徘徊役の阿部治樹記者(中央奥)も加わった「反省会」があった=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影訓練後、徘徊役の阿部治樹記者(中央奥)も加わった「反省会」があった=1日、岡山県和気町、青山芳久撮影

岡山県和気町の地図岡山県和気町の地図

 認知症のお年寄りが突然いなくなり、そのまま消息がつかめなくなる――。高齢化が進む日本は今、深刻な問題に直面している。認知症の人たちと、どう向き合っていけばいいのか。徘徊(はいかい)する人、捜す人、見守る地域。岡山であった訓練に記者も加わり、さまざまな目線で考えてみた。

■61歳シニア記者、徘徊役に

 昨年5月に定年を迎えた61歳。「シニア記者」として岡山県東部の備前市を中心に仕事をしている。取材エリアには高齢者が多い過疎地もあり、認知症は自分も「予備軍」といえる。身につまされる問題と考え、高齢化率が3割を超える和気町(わけちょう)が4年前に始めた「徘徊捜索訓練」で、徘徊役を引き受けることにした。

 1日午前9時半。ジーンズにポロシャツ姿で町内をうろつき始めた。どこでも見かける装いにしたのは、町の担当者に「認知症の人が奇妙な格好をしているとは限りません」と言われたからだ。一方で、少しは周囲の目を引きつけてみようと考え、日中なのに夜光のたすきをかけた。

 徘徊中はよたよたと歩くほうがいいと思ったが、町の担当者は「すたすたと歩いて」。認知症の人は、迷っていながらも行き先に確信を持ち、脇目もふらず歩く人が多いからだという。「なるほど」と納得した。

 田んぼの中に家が点在する地域へ。70歳前後の女性2人から「こんにちは。どこに行くの」と声をかけられた。町内には「認知症の男性がいなくなった」という訓練情報が流れていて、2人は私をその男性と思っているようだ。

 「病院へ行くんじゃ」。私の返事は、訓練シナリオに沿って言い張るこのセリフだけ。2人は「あら、そう」と言うが、言葉が続かない。もっと突っ込んでくれよ、と思いつつ、立ち去った。徘徊している人に声をかける難しさ。徘徊する側になって初めて感じた。


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