案の定、と言うべきか。景気の好転を受けて、2013年度の一般会計税収は前年度比で6・9%、3兆円余り増えた。財務省はこれについて、13年度の補正後の予算で見込んだ税収に比べて「1・6兆円上振れ」と記者発表し、日本経済新聞などのメディアはそれをうのみにして報じた。財務省は税収増加額が1・6兆円にとどまるというイメージを世に植え付けたのだ。
財務官僚はご丁寧にも、増収分のうち1兆円は「一時的要因による」と説き、アベノミクスによる増収効果を矮小(わいしょう)化するのに努めた。税の自然増収を過小評価し、増税による増収を過大評価し、財政健全化のためには増税しかないとメディアを洗脳するのだ。
ここでグラフを見てみよう。基幹税と呼ばれる所得税、法人税、消費税の各収入をみると、13年度は景気の上昇に合わせていずれも増えている。名目国内総生産(GDP)の前年比伸び率は1・9%であるのに対し、税収総額は6・9%伸びた。GDP増加分1に対して税収がどれだけ増えたかという税収弾性値は3・7で、従来の実績値である3〜5%の範囲内だ。財務省は税収弾性値を1・1程度にしか見ないのだが、成長率の数倍の割合で税収が増えることを財務省の税収データが証明している。
財務省が14年度に見込んでいる一般会計税収総額は50兆円である。消費増税がなくても景気回復が続けば楽々達成できる数値だ。ところが、内訳をみると、13年度に比べて増加しているのは税率を8%に引き上げた消費税だけで、所得税収と法人税収はかなり減る。13年度税収を意図的に低く見積もり、消費税増税効果を際立たせようとする財務官僚の数字操作のたまものだ。