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ESPフォーキャスト調査

7月10日発表:7-9月期実質成長2.65%に―消費者物価の上方修正が続く

2014年7月調査を公表しました。

@7-9月期実質成長はさらに上方修正。
 2014年度7-9月期の実質成長率予測は季調済み前期比年率(瞬間風速)で2.65%になった。
 同期実質成長率の調査を始めた13年1月以来ほぼ一貫して上方修正が続いていたが、前月の2.37%を0.3%ポイント近くも上回った。15年10月からの消費増税“第2弾”(2%の追加増税)を後押しする材料と言える。

14年7-9月期実質成長率予測の推移

A14年度消費者物価上昇率は消費増税の影響を除いたベースで1.11%。
 14年度の消費者物価上昇率予測は5月調査まで消費増税の影響を除いたベースで1%以下だった。それが前月の6月調査で1.08%と1%を上回った。今月ささらに0.03%ポイントの上方修正になった。
 だが、四半期別前年同期比上昇率を見ると、4-6月の1.36%から7-9月は1.10%に下がり、以降来年4-6月の1.01%まで下がり続ける姿になっている。
 14年度だけをみると、日銀の1.3%と大差ない。だが、四半期ベースでの後ずさりが15年度には日銀の1.9%に対し当調査は1.1%と0.8%もの差ができてしまう。
 黒田日銀のデフレ脱却シナリオのキーになるのはマネタリーベースを増やせばインフレ期待が高まる、という理屈だ。目に見えないものだけに判断は非常に難しいが、2014年末で270兆円というマネタリーベース目標が生み出したインフレ期待が胸突き八丁を迎えているのは確かだ。

2014年度消費者物価上昇率予測の推移

B高まる中国リスク。
 今月の調査で今後1年以内に景気の転換点(山)を迎えるリスクを複数回答方式で聞いた。

2015暦年中国実質成長率予測の推移

 最も多かった回答は「中国経済の動向」だった。全体の3分の2近い27名のフォーキャスターが「中国」と答えている。シャドーバンキングに象徴される中国の金融バブルが破裂、2008年のリーマン・ショックの再来を危惧する向きは多い。
 中国リスクを反映して2015年の中国実質成長率予測も年初来下方修正が続いている。

C米国の14年実質成長率は1%台に下がる。
 景気へのリスク調査で2番目に多かったのは「米国経済の動向」だった。
 フォーキャスターの14年実質成長率予測もこのところ大幅な下方修正が続いている。
 3月調査では2.78%だった。それが前月の6月調査では2.40%。今月は遂に2%を割り込む1.99%まで下がった。

D原油価格を警戒。
 景気のリスク調査は今回が2度目だ。初回は3カ月前の4月調査だった。そのときに「原油等の一次産品の供給不安定化、価格の高騰」をリスクに挙げた人は8名に過ぎなかった。今回、それが16名に増えた。
 ことしの原油価格予測は4月調査時点ではバレル当たり99.16ドルと比較的落ち着いていた。それが5月調査で100ドル台に乗せ、今月は102.06ドルに上がった。

2014暦年原油価格予測の推移

E迷走する金融の追加緩和予測。
 ことしの1月調査時点の追加緩和予測は「4月」だった。昨年4月4日の「レジーム・チェンジ」から丁度1年、黒田さんはきっと何らかの追加緩和措置を出す、というのが多くのフォーキャスターの判断だった。
 何事もなく4月は終わり、5月調査では「7月追加緩和」が大勢になった。それが6月調査になると「10月」に飛んだ。そして今月、「10月追加緩和」が前月の14名から16名に増えた。年末までには消費増税“第2弾”にジャッジを下さなくてはならない。日銀ができる“応援策”は10月追加緩和以外にはない、というのがフォーキャスターの読みだ。だが、確信があるわけではない。

F経常収支予測の下方修正に下げ止まりの気配。
 前月の6月調査で低位8機関の14年度経常収支予測が初めて赤字になった。今月調査でも低位8機関は赤字を予測している。だがその額は前月の0.54兆円から0.24兆円に縮小している。
 2014年度の経常収支予測は2013年の9月調査がピークだった。10.65兆円の黒字を予測していた。
 それが猛烈な勢いで縮小に転じ、ことし1月の7.14兆円から2月6.23兆円といった具合で、毎月ほぼ1兆円ずつ切り下げてきた。前月6月調査では2.76兆円だった。それが今月は2.81兆円とわずかだが黒字が増えた。
 この間も15年度は一貫して14年度より増える予測になっており、今月調査も4.68兆円の黒字だった。

2014年度経常収支予測の推移

調査結果の公表予定
2014年 8月調査    2014年 8月 12日
2014年 9月調査    2014年 9月 5日
▲上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。

調査結果

2012年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

調査参考資料(PDF形式)・関連資料はこちら

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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