猫カフェ:癒やされる?夜の接客 「延長は22時まで」

毎日新聞 2014年07月11日 11時50分(最終更新 07月11日 13時18分)

午後10時まで営業している猫カフェ「猫の居る休憩所299」=東京都豊島区で竹内幹撮影
午後10時まで営業している猫カフェ「猫の居る休憩所299」=東京都豊島区で竹内幹撮影

 ◇「動物愛護に反する」に「夜行性で問題ない」

 猫と触れ合える「猫カフェ」の夜間営業を巡り、夜遅くまで楽しみたい客や店側と、猫の健康を心配する動物愛護団体などとの間で論争が続いている。環境省は猫のストレス調査を実施したが結論が出ず、動物愛護法の特例として「午後10時まで」営業を認める規定を、6月から2年間延長した。猫の「接客」の実態を探りに、猫カフェをのぞいた。【阿部周一】

 東京・池袋のビル5階にある「猫の居る休憩所299(にくきゅう)」。平日午後8時過ぎに訪ねると、ソファや書棚が置かれた静かな店内はカップルや会社員ら約30人でにぎわっていた。通常料金は10分200円(飲み物代は別)、客層は20〜30代が中心だ。17匹いる猫を抱いたり、隣に寝そべらせたりしながら、本を読んだり談笑したり。猫たちは気が向かないとふいと移動するなど、気ままに振る舞っていた。

 「自宅で飼えないので、仕事の後も開いている猫カフェはありがたい。疲れが癒やされます」。毎週来店するという常連の男性会社員(42)はそう言って、おもちゃで猫と遊んだ。

 店の営業時間は午前11時〜午後10時だ。オーナーの花田憲昌さん(43)は「ここでは猫たちもそれぞれのペースで過ごす。夜は猫が活発になる時間帯。狭いケージに入れておく方がストレスがかかる」と話す。

 夜間営業論争の始まりは2年前にさかのぼる。環境省は2012年、動物愛護法の省令で、ペットショップなどでの犬や猫の展示を午前8時〜午後8時と定めた。24時間営業を売りにするペットショップが登場し、愛護団体などから犬猫の健康に与える悪影響を懸念する声が高まっていた。この措置に猫カフェの経営者らが「夜行性の猫を夜間、閉じ込めるのは逆にストレスを高める」「夜は利用客が多い」と反発。同省は専門家会合を開き、経過措置として14年5月までの2年間、猫カフェに限って1歳以上の猫の午後10時までの展示を認め、その間に規制の是非を検証することにした。

 同省は昨年、猫カフェ9店で猫のストレス調査に乗りだした。首輪に活動量を測る装置を付け1日の平均を調べたところ、午後8時に閉まる店と午後10時までの店でほとんど差がなく、必ずしも「猫は夜間に活発化する」とは裏付けられなかった。一方、猫の尿を採取しストレス指標となるホルモン濃度も調べたが、三つある指標のいずれにも明確な差は出なかった。

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