磯村健太郎
2014年7月11日09時29分
歌人・与謝野晶子(1878~1942)の未発表の短歌が、新たに東京都内で見つかった。1937年の盧溝橋事件の翌月に詠まれ、拡大する日中戦争の行方を憂えている。専門家は「検閲を意識して発表しなかったのでは」と話している。
歌は「秋風やいくさ初(はじ)まり港なるたゞの船さへ見て悲しけれ」とあり、署名入り。扇子に毛筆でつづられ、東京都世田谷区の布村建さん(77)が父親の遺品として保管していた。晶子研究者で日本文芸学会常任理事の入江春行さん(86)が晶子の直筆と確認した。
入手経緯を書き残したメモと布村さんの話によると、農林省技官だった父親は37年8月13日、晶子と面識のある同僚と横浜港に行った際、たまたま晶子と出会った。桟橋の喫茶室で、持っていた扇子に「一筆を乞うた」という。
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