東京レター
東京で暮らす外国人たちが、手紙スタイルでつづる「東京生活」
【経済】鶏卵 価格高止まり 「物価の優等生」返上?「物価の優等生」として食卓の強い味方だった卵だが、政府の生産調整の影響が出始めた昨秋以降、高騰が続いている。スーパーなどに並ぶ店頭価格は例年に比べ一〜二割高。卸売価格に至ってはサイズによって五割も値上がりしている。「廃業する養鶏業者が後を絶たず、今後もこの価格帯が続く」(大手鶏卵会社役員)との見方が大半で、「優等生」の看板を返上することになるかもしれない。 (山口哲人) 十日、東京都内のある大手スーパーの陳列棚に並ぶ卵(十個入り)は最安で二百二十四円だった。昨年同月の平均価格より二十円高く、消費税増税分以上の値上がり。卵は客寄せになるため特売の際には百円台で販売されることもあるが、小売店も特売の回数を減らしている。 高騰の原因は、円安による輸入飼料の調達コストの上昇と、養鶏業者の廃業による供給量の減少だ。物価の優等生として値上げを踏みとどまる雰囲気が業界全体にあったため、採算割れに耐えきれなかった養鶏業者の廃業が続出。農林水産省の畜産統計によると、昨年から今年二月にかけて養鶏業者全体の3・4%にあたる九十業者が廃業した。 さらに農水省は昨年、価格をつり上げて養鶏業者を支援しようと、生産調整を実施。五百万羽が処分されたことで、さらに卵の供給量が減ることにつながった。 これまでは、LLサイズなど大きい規格の卵ほど値段は高かったが、スーパーなどがこぞって安い小玉の仕入れを多くした結果、現在ではMSサイズが最も高いという逆転現象が起きている。大手鶏卵会社の役員は「ゆで卵や温泉卵で加工メーカーも使うため、MSに需要が集中している」と指摘。加工メーカーなどは輸入卵の使用量を増やして対応している。 円安による調達価格上昇に加え、トウモロコシなど穀物需要の世界的な高まりで、今後も輸入飼料の値下がりが期待できそうもない。同役員は「今までの卵の価格に対する考えを変える時期かもしれない」と話している。 <物価の優等生> 商品の値段は経済成長に伴って上昇することが多いが、卵は逆に値下がり傾向が続いてきた。1980年に1パック400円だった平均小売価格は、2000年に300円。ここ数年は210〜230円で推移し、家計に優しいことから物価の優等生と呼ばれてきた。値下がりは養鶏業者の過当競争により、大規模化や飼育施設の自動化といった経営努力が進められたため。国際的にも日本の卵の価格は安めに抑えられている。 PR情報
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