「ワインの味と価格は比例する」と思われている方も多いと思います。本コラムで紹介しているプレミアムワイン(ファインワイン、高級ワイン)は、1本数万円から数十万円もするもので、どれもおいしいワインばかりです。もちろん安くておいしいワインもたくさんありますが、一般的には、価格が高いワインは質が高く、質が高いワインは価格も高いという傾向があるといっていいでしょう。
とはいえ、非常に高価なものなのにも関わらず、価格ほどの満足感が得られないワインも存在します。読者の中にはそんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。超高級ワインになると、その時の経済状況やブランド価値、それに希少性などで価格が大きく左右されるため、高いからおいしいとは言いにくくなります。このため、「味と価格が比例する」と単純に言えないこともあるのです。難しいところですが、だからこそワイン収集は面白いのです。
連載の第一回で、ワインは、投資対象になっていることを書きました。金、銀などの他の投資対象と同様に、プレミアムワインの価格は、まるで株価のように日々変動していきます。これもワインの大きな特徴といえます。
今回は、“ワインの価格”について見ていきましょう。2000年代からのワインの価格を見ていくと、世界の景気や中国マネーが、価格に大きな影響を及ぼしてきたことがよくわかります。
ワイン価格は景気動向と相関が高い
まずは、このグラフをご覧ください。
これはボルドーの5大シャトーの価格推移と、上海総合指数との関係を示したものです。見れば一目瞭然ですが、非常に関係性が高いことが見て取れます。景気が良くなれば、ワインの需要が増えます。また富裕層が投資先を探していると、当然ワインもその1つとして扱われて値段が上がっていきます。そして、景気が悪くなると買い渋るわけです。今や、ボルドーの価格を左右しているのは中国マネーと言えるでしょう。
ワインの価格は上がったり下がったりと変動はありますが、おおむね物価の上昇と共にワインの価格も右肩上がりに上がっています。特に2000年に入ってからは上昇が目立ちました。2008年に至るまでは世界経済も全般に好調で、さらに中国がエマージングマーケットとして現れ、ワインの価格上昇に拍車をかけました