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一家惨殺も怖いが、結婚したがるアラフォーの同僚がやばい「家族狩り」1話レビュー

2014年7月11日 09時00分

ライター情報:木俣冬

「幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉」天童荒太/新潮文庫

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夏のジブリ3連弾の裏で、果敢に発進した新ドラマ「家族狩り」(TBS金曜10時〜)。ジブリアニメのスケール感もすごいけれど、テレビドラマにしては、物語も映像も、ヘビー級な見応えなので、こちらも注目してほしい。

原作は、直木賞作家・天童荒太の小説
映画も大ヒットした「SPEC」シリーズをつくった植田博樹がプロデュースしたこのドラマ、のっけから一家惨殺シーン。美しくも残酷な映像に、思わず身を乗り出した。

そこで、
チェックポイントその1 誰が家族を狩った(殺した)のか?

このドラマは、「誰か家族を狩ったのか?」という謎を追っていくミステリー仕立て。
一家心中のように見せかけて、次々と家族を殺している人物がいる。
誰が? 何のために?
捜査一課の馬見原光毅(遠藤憲一)たちが真相を追う。

チェックポイント2 ニオイに注目

このドラマのチャレンジングなところは、ニオイが事件の鍵となること。テレビからはニオイは出てこないにもかかわらず、演技や映像で、ニオイを表現している。
馬見原(遠藤憲一)が、事件現場に残されたニオイから、犯人に近づいていく。遠藤憲一、鼻が利きそうで、ぴったりの役どころ。

チェックポイント3 困ったちゃんばかりの登場人物たち

馬見原(遠藤憲一)がニオイからマークした女性・氷崎游子(松雪泰子)は「クレームばばあ」の異名をもち、正義感が強いあまり、何かと警察に怒鳴り込んでくる、児童心理司。
空手チョップの手つきで、机をバンバン叩くのが特徴。第一話では22回も叩いていた。
彼女のイライラの原因は、家に認知症のお父さん清太郎(井上真樹夫)。

この認知症のお父さんと、たまたま関わり合いになった美術教師・巣藤浚介(伊藤淳史)は、バスキアみたいに生きたいと願っているが、現実は、40歳手前の同僚・清岡美歩(山口紗弥加)から結婚を迫られ、バスキアからほど遠いドメスティックな日々を送っている。

結婚したがるアラフォーの同僚が、かなりやばい。
一話に関しては、家族狩り(殺人)の行為よりも、空手チョップのクレームよりも何よりもこわいくらいだった。

どういうことか振り返っておく。
強引に肉体関係に持ち込む→家に居座り、私物を置く→宅配の人に奥さん面する→着払いで高価な商品を買い、男に払わせる→周囲にふたりの関係を匂わせる→親に会ってと迫る→決定打・子供ができたと吹聴する
ほら、こわい。
彼女に限って「家族狩り」って「夫になる人狩り」なんじゃないかという気さえしてくる。

ライター情報

木俣冬

文筆業。ドラマ小姑。著書に『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』。他、ノベライズ『マルモのおきて』、『君が踊る、夏』『シュアリー・サムデイ』、構成を担当した『蜷川幸雄の稽古場から』『堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』などがある。演劇、映画、ドラマ、アニメなどの面白さを日夜追求している。『SPEC〜天〜』『外事警察その男に騙されるな』公式ライター
ツイッター @kamitonami

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