米国債:上昇、逃避需要で-欧州金融市場が再び緊張
7月10日(ブルームバーグ):米国債相場は上昇。10年債利回りは一時、1カ月ぶり水準に低下した。欧州金融市場が再び緊張状態に陥ったため、米国債への逃避需要が高まった。
ポルトガル第2の銀行の親会社が短期債務の返済をしなかったことから投資家の懸念が再燃し、ポルトガル債が下落。これを背景に米国債は上昇した。米30年債入札(発行額130億ドル)で最高落札利回り が3.369%と、2013年6月以来の低水準になると、米国債は伸び悩んだ。ブルームバーグがまとめた予想は3.372%だった。
ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチーフ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「世界的に株価が軟調なため、米国債は引き続き底堅くなっている。深刻なインフレ圧力なしに短期債利回りが上昇する理由はない」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.54%。一時は2.49%と、6月2日以来の低水準を付けた。同年債(表面利率2.5%、2024年5月償還)価格は1/8高の99 21/32。
既発30年債利回りは1bp低下の3.37%。
30年債入札では投資家の需要を測る指標の応札倍率 が2.40倍。過去10回の平均と同じだった。
間接入札海外の中央銀行を含む間接入札者の落札比率は53.2%と、2006年2月以来の高水準。過去10回の平均値は42.5%だった。
プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入札者の比率は11.1%。過去10回の平均値は16.6%だった。
RBSセキュリティーズの米政府債ストラテジスト、ガブリエル・マン氏は「間接入札はこのような長めの国債への需要を示している。同時に弱い面もあり、入札は強弱まちまちと言える」と述べた。
ポルトガル中央銀行はエスピリト・サント銀行について、親会社が一部短期債務の返済を延期したものの、同行は保護されていると言明した。
CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォード)の政府債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏「欧州危機の再燃で需要が高まった。これは全般的な質への逃避の一部で、利回りがかなり低水準にあるものの、30年債は恩恵を受けている」と述べた。
議事録、議会証言前日に公表された6月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録も引き続き支援材料となった。議事録を受けて、利上げ前倒し観測が後退した。
イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は15日に上院銀行委員会で、16日に下院金融委員会で証言する。
原題:Treasuries Rise as Europe Spurs Haven Demand; U.S. SellsBonds(抜粋)
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更新日時: 2014/07/11 06:37 JST