10日の東京債券市場で、満期3カ月の短期国債の流通利回りが一時、異例の「マイナス金利」になった。買った時点で損を抱えるが、それでも国債を持ちたいという投資家が多いためだ。日本銀行の金融緩和で、市場に出回る国債が減っていることが背景にある。

 10日午前に財務省は満期3カ月の短期国債の入札をしたが、入札前の金融機関同士の売買で、流通利回りがマイナス0・002%になった。入札後の平均利回りはプラス0・0182%だった。国債の売買では、買いたい人が多いと国債の価格が上がり、少ないと値下がりする。価格が上がるとその分、金利は下がる。

 金利がマイナスになると、満期まで持っても損が出る。それでも買いたい人がいたため、金利がゼロを下回った。ほかにも同じ水準で買いたい人がいるので、いずれ転売できると考えて購入したものとみられる。

 債券市場では、日銀が大量の国債を買うため、国債が品薄になっている。価値が下がりにくい国債の人気は高い。

 日銀が昨年4月に大規模緩和を始めた直後も、市場で国債が品薄になり、金利が乱高下した。ただ、現時点では「金利は低水準だが、急激な変動は起きにくい」(大手証券)との見方が多い。