出場辞退救った140キロ大型助っ人/宮城
<高校野球宮城大会:黒川5-1岩出山>◇9日◇2回戦◇鹿島台中央
岩出山・佐々木昌吾(3年=外野手)は同級生のために立ち上がった、6日間の高校野球生活だった。部員9人で迎えた開会式前日の4日、突然1年生外野手が退部。「助っ人」に指名されたのは、6月に砲丸投げで県10位に入った175センチ、140キロの野球未経験者だった。「本当に自分でいいのかなと思ったけど、山田が最後の大会だから」。岩出山中からの友人で、チーム唯一の3年生だった山田貴之主将の夏を試合前に終わらせるわけにはいかなかった。
小4からサッカーを始め、高1の冬までGKひと筋。金属バットを握ったこともなかった。急きょ特注したユニホームに前日夜から胸と袖の校名を縫い、完成したのはこの日の朝。9番左翼で先発し、3打席連続3球三振に終わったが「思いきり振ると決めていた」。7球をフルスイングして仲間を盛り上げ、9回には併殺崩れの間に現チームの公式戦初得点を奪った。
昨秋、楽天にドラフト指名された今野を輩出した同校には、野球経験のある生徒もいる。声をかけた相原監督は「気持ちの良い子だとわかってたので、(助っ人を)頼むなら昌吾と決めていた」。卒業後は同じ企業に就職予定の山田も「いつも笑顔でいてくれて、後輩たちも変わった。心強い仲間です」と感謝した。緊急事態を救った背番号10は「最初で最後の野球、すごく楽しかった」。芽生えた絆を胸に刻み、静かにバットを置いた。【鹿野雄太】
[2014年7月10日11時35分 紙面から]
- PR情報
- 高校野球市川・河西昨夏の雪辱1安打初完封/山梨[11日08:09]
- 高校野球新潟「広野塾」効果で打撃爆発/新潟[11日08:08]
- 高校野球城西大川越が昨年に続き今年も1号/埼玉[11日08:06]
- 高校野球広尾・舛田パイロット志望に5球団/東東京[11日08:04]
- 高校野球市川エース河西10K完封で初戦突破/山梨[10日22:26]