(2014年7月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
サッカーW杯ブラジル大会準決勝でのブラジルの歴史的大敗を1面で伝える新聞〔AFPBB News〕
7月9日朝、ジョバニ・マシャードさんは他の何百万人ものブラジル人と同じように、前日のことが決して起こらなければよかったのにという思いで目を覚ました。
8日にドイツが開催国ブラジルを7対1で打ちのめしたベロオリゾンテの中央市場でブラジルのサッカーグッズを販売するマシャードさんは目をこすり、ブラジルで「大虐殺」と呼ばれている出来事の説明を求めてもがいていた。
「ドイツの方が優勢なのは分かっていた。だけど、それでも大虐殺は予想してなかった」とマケードさんは言う。黄色と緑のブラジルチームの商品の売れ残りをどうするかについては、肩をすくめるばかりだ。「全く分かりません」
「大虐殺」と呼ばれる歴史的惨敗、試合途中から政治家にやじ
ブラジルの国民と政治指導者たちにとって、母国で開催されたワールドカップ(W杯)でのナショナルチームの歴史的な惨敗は、すぐさま大会の後遺症を引き起こす恐れがある。
10月に大統領選挙を控え、ジルマ・ルセフ大統領から野党の指導者アエシオ・ネベス氏やライバルのエドゥアルド・カンポス氏に至るまで、様々な政治家が国民のムードへの副次的影響について心配するだろう。
彼らの脆さは8日夜、ミネイロン・スタジアムで惨事が起きているそばから既に明らかになっていた。ハーフタイムまでにドイツが5対0でリードしており、観客はブラジルの選手たちにブーイングを浴びせ、ルセフ大統領や、ベロオリゾンテ出身でスタジアムにいたネベス氏に関する侮辱的なやじを盛んに飛ばしていた。
2人とも、ソーシャルメディアネットワークで敗北についてコメントした。ルセフ大統領はブラジル国民に「立ち上がり、埃を払い落そう」と語りかけた。ネベス氏は、「理解しがたいが、今回のことがブラジルサッカーの明るい光を消すことはない」と言った。
だが、ブラジル人の失望にもかかわらず、数件の酒の上でのけんかや、警察がW杯とは無関係とする数件のバス放火事件のほかには、試合の後にほとんど暴力は見られなかった。