クーリングオフといえば、訪問販売や電話勧誘で購入・契約意思を示しても一定期間内ならば、撤回できるものです。総務省の作業部会のまとめた中間報告(案)では、現在は適用外である電気通信サービスについてもクーリングオフを導入すべきだとしています。

要約すると同省では、スマートフォンやモバイルデータ通信、光ブロードバンドの契約が複雑かつベストエフォート型のサービスであるため、クーリングオフを導入したほうが良かろうと言っています。通信事業者側の対案も含めて解説します。


クーリングオフは、特定商取引法において訪問販売や電話勧誘販売の申込みが一定期間内であれば無条件で一方的に撤回できるというものです。現在、スマートフォンやモバイルや固定のデータ通信といった電気通信サービスは適用対象外となっていますが、クーリングオフ相当の取り組みを自主的に実施している場合もあります。

適用外となっているのは、電気通信事業法で業務改善命令や登録取り消しなど、通信事業者に「やめたまえ」と言える権利がすでにあるためです。消費者保護の観点からすれば、特定商取引法でなくても保護されているのでいらないだろうという判断。そもそもクーリングオフの導入背景には、訪問販売の不意打ち的な販売手法が消費者の契約判断を鈍らせるという観点と、複雑な商品やサービスにも関わらず、十分理解しないまま契約に至ってしまうといった理由があります。

総務省の中間まとめ(案)では、現在の電気通信サービスの解約希望の理由を紹介しており、サービスの複雑な販売方法や契約の複雑さ、通信速度がベストエフォートで具体的なサービスエリアも事前に把握できない点をあげています。

電気通信サービスでも契約後に一定期間、熟慮の時間を提供するとともに、契約の複雑さを理解できない点、そしてベストエフォート型のサービスであることをふまえ、クーリングオフの導入が妥当と結論づけています。

なお、通信事業側からは試用サービスの導入で自主的な対応が可能とした意見もあるようです。ただ、仮に試用サービスがあったとしても、クーリングオフの制度自体があった方が消費者は嫌な買い物をしないで済みそうです。通信事業者は、クーリングオフ制度を何度も利用するなど権利の濫用防止措置を求めており、総務省も必要に応じて検討した方がいいと判断しています。

なお、中間まとめ(案)ではクーリングオフの導入は電気通信サービスの契約に関するもので、利用する端末については別の契約としています。現状、国内の端末はSIMロックがかかったものが大半で、これらは通信事業者のサービスと連携しています。総務省ではその場合、端末側の契約もクーリングオフに準じた扱いになるよう検討した方がよいとしています。
スマホの店頭購入やブロードバンド契約でもクーリングオフ導入、総務省が中間まとめ(案)公表

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