集団的自衛権:14日衆院委、15日参院委で集中審議

毎日新聞 2014年07月10日 20時01分

 与野党は10日、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定を巡り、14日に衆院予算委員会、15日に参院予算委で集中審議を行うことで合意した。野党はそれぞれ2日以上の審議を求めたが、来春に法整備を先送りし、行使容認に対する批判のほとぼりを冷ましたい与党は拒否。憲法解釈の大転換を巡る国会審議は衆参わずか1日ずつとなり、国会の低調ぶりが改めて浮かんだ。

 「14日の質疑を踏まえ、集中審議は次期国会までの開催を最大限努力させる」。10日に国会内で開いた衆院予算委の理事懇談会で、二階俊博委員長はさらに集中審議を行うことに含みを持たせた。

 安倍晋三首相らの外遊日程を理由に「審議は1日だけ」と譲らない与党に対し、野党は同日午前の理事懇談会を欠席するなど抵抗。与党は7時間の審議の4分の3を野党の質問にあて、さらに二階氏の「踏み込んだ発言」(自民党の塩崎恭久筆頭理事)で事態を収拾させた。参院予算委も10日の理事懇談会で7時間の集中審議を決めた。

 秋の福島、沖縄両県知事選や来春の統一地方選をにらみ、首相は6日、集団的自衛権の行使容認などを巡る法整備を「一括して行いたい」と先送りする考えを表明。当面の選挙への影響を最小限に抑えつつ、「空白期間」を作って世論の沈静化を待ち、内閣支持率の回復を図る狙いだ。

 これに対し、民主党の大畠章宏幹事長は10日の記者会見で、「与党だけで閣議決定し、首相が海外で説明している。(法案を出すと)選挙で不利になるからだ。国民に全く説得力がない」と政権を批判した。

 ただ野党は行使容認への賛否で一致しておらず、抵抗は上滑りぎみ。この日の衆院予算委理事懇でも、「与党の譲歩はせこい」(野党理事)とぼやきつつも、攻め手を欠き、渋々合意せざるを得なかった。

 自民党関係者は「追加の集中審議なんてやらない」と明言する。今年度当初予算の成立後は大型法案が乏しかった通常国会に続き、秋の臨時国会についても「安保の法案を出さないなら、やることはあまりない。開く必要があるのか」(与党幹部)とのぼやきさえ漏れる始末だ。【光田宗義、水脇友輔】

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