ベネッセからの超弩級の大量顧客情報流失も、管理の甘さ、という意味で問題だが、どうみてもマトモではない量の名簿を購入し、それでヌケヌケと広告を送りつけてきて、いまだにほっかむりしている「スマイルゼミ」のジャストシステムって、いったいどういう会社なんだ? 顧客が怒っているのは、情報を盗まれた同じ「被害者」の側のベネッセ以上に、情報を盗んだ側のジャストシステムだ。
いや、盗んだわけじゃない、カネを払って買った「善意(知らなかった)の第三者」なんだ、なんて、ネゴトワ・ネテイエ。常識的に考えて、あの量の個人情報が、まともなものではないことくらい、それどころか、情報流出の出どころがまさにライヴァルのベネッセであることくらい、同じ業界にいればわからないはずはあるまい。たとえ法律が許しても、しまじろうとそのおともだちが許すものか。
まして教育関連だ。同社の主力製品の「一太郎」は、縦書きやマス書きに強かったので、昔から小学校や中学校に深く入り込んでいて、税金でも大量購入されている。その延長線上で始めたのが、今回、広告で送られてきた教育教材の話。だが、教育以前に社会常識的な倫理観が壊れていて、なにが教材開発か。
また、同じ理由で、「一太郎」は、官公庁や官公庁と取引のある企業などにも大量に入っている。だが、ジャストシステムが盗んだ個人情報を買って平然としている企業ということになると、ジャストシステムが自分で集めて持っている個人情報についても、同じ程度の管理意識しか無い、ということになる。
今回、ベネッセからの情報流出がすぐに特定されたのは、自分の個人情報を提供先企業別に微妙にアイデンティファイし、追跡できるようにしていた管理意識の高い顧客がベネッセに多かったからだ。ある種の「すかし」の入った個人情報で広告などが送られてくれば、それがどこに提供した自分の情報であったか、一目でわかる。
ベネッセは、長年の地道な努力で、25年をかけて、少しずつ顧客を増やしてきた。ママ友仲間の評判やクチコミ、その成果と信用が、あれだけの大量の個人情報だ。ベネッセの顧客はそれをよく知っているから、ジャストシステムに怒っているのだ。それを、簡単にカネで買える、と思っているジャストシステムは、経営の根本が間違っている。電話がつながらない、云々で逃げようとしても、今回の事件が大問題であることに気がついていないわけがあるまい。謝罪するなら、ベネッセよりジャストシステムの方が先に決まっている。こんな広告を送りつけてきて、なにが「スマイルゼミ」だ。まったく笑えない。いや、へらへらとスマイルだなんて、バカにされているようで、余計に腹立たしい。