福井県の総合ニュースサイト


全国の速報

福井のニュース  論説

児童ポルノ規制 「子どもを守る」ため当然

(2014年7月9日午前6時20分)

 子どものわいせつな写真や映像を個人が持つ「単純所持」を盛り込んだ改正児童買春・ポルノ禁止法が成立、今月にも施行される。

 日本は先進7カ国の中で唯一、単純所持が黙認されるなど児童ポルノに対する規制が緩く、非難を浴びてきた。子どもを守るためにも改正を機に、児童ポルノを撲滅したい。

 昨年1年間に摘発した児童ポルノ事件は、1644件(警察庁)に上り、過去最多となった。被害者となった子ども646人のうち92人が小学生だった。しかも多くが強姦(ごうかん)や強制わいせつといった被害に遭っている。こうした子どもたちの心の傷は計り知れず、到底許されるものではない。

 1999年に成立した児童買春・ポルノ禁止法は、性欲を刺激する写真・画像の製造、販売を規制。悪質な業者摘発に一定の効果があった。個人的な所持は一部条例を除き、規制対象外とされた。

 だが、インターネットの普及により、状況が様変わりしている。国を越えて児童ポルノが流出。ネットにアップされた日本発の画像が広く出回り、日本は国際的批判にさらされている。恥ずかしいと言わざるを得ない。

 単純所持といってもメールで画像を一方的に送り付けられたり、自分の子どもの幼いころの裸や水着姿の写真を保存していたりと、さまざまなケースが考えられる。線引きがあいまいとの指摘もあり、改正法では「殊更に児童の性的部位が露出されまたは強調されているもの」とし、定義を厳格にしている。

 それでも画像や写真を一律に判断するのは難しい。警察が単純所持を重視して摘発に乗り出す「捜査権の乱用」が懸念され、捜査には慎重さが求められる。さらに「自己の性的好奇心を満たす目的」の所持を禁じるのが狙いとされる一方で、単なるほほえましい画像が目当てのマニアもおり、規制を検討すべきとの声もある。

 表現の自由を侵害しかねないという観点から漫画やアニメの扱いは今回、規制対象外となった。しかし、一部アニメには、わいせつな表現の作品があり、出回る。取り締まりを含め、今後の課題といえよう。

 スマートフォンの無料通話アプリ「LINE」を使い少女のわいせつ動画を送ったとして、高校2年男子生徒が児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。児童ポルノが犯行のきっかけや手口のヒントとなる恐れもある。

 インターネット関連事業者に捜査機関への協力や拡散防止の措置を求めている。社会が子どもたちを守るのは当然。児童ポルノを一掃し、不名誉を返上しなければならない。

福井のジャンル

福井新聞ご購読のお申し込み D刊お申し込み

ニュースランキング

弔電サービス「わたっくす」

ぷりん

福井新聞文化センター 風の森倶楽部


〒910-8552 福井県福井市大和田2丁目801番地

TEL:0776-57-5111

本ページに掲載の記事・写真などの一切の無断掲載を禁じます。