東京レター
東京で暮らす外国人たちが、手紙スタイルでつづる「東京生活」
【社会】「子どもの育ちに合った場を」 学校以外の選択肢拡大
不登校だった中学三年生の高校進学率が八割を超えたが、学校現場では何とか学校に戻そうとする指導も続いている。不登校の子どもを支援する専門家は「子どもに合った育ちの場を大切にしてほしい」と訴える。 「バンド演奏はプログラム後半の最初にしたらどうかな」「飾り付けの準備も始めなきゃ」 八日、東京都葛飾区の学校法人東京シューレ学園「葛飾中学校」。かつて不登校だった一年から三年の生徒九人が、今月中旬にある「お楽しみ会」の出し物について話し合った。生き生きとした表情で、アイデアを出し合う。 同校は、一九八五年から不登校の子どもを支援するNPO法人「東京シューレ」が母体。廃校となった小学校を借りて二〇〇七年に開校した。生徒百二十五人は全員が、かつて不登校だった。登校するか自宅で学ぶかは自分のペースが尊重され、修学旅行などの行事も子どもが中心になって決める。 「学校に行かなきゃという気持ちはすごくあった。でも、そのプレッシャーで病気になってしまった」。四月から通う三年の男子(14)は振り返る。 同級生から受けた性的暴力がきっかけで、中学一年の秋から不登校になった。「ここは、自分を自分として認めてくれるから居心地がいい。高校で勉強して自分を立て直し、将来はちゃんとした仕事に就きたい」と話した。 葛飾中を卒業し、東京シューレが運営するフリースクール「王子シューレ」(東京都北区)に通う通信制・単位制高校の二年男子(16)は「不登校で自分を責めないで。環境に合わなかっただけで、君に合う環境はいっぱいあるから」とエールを送る。 不登校をきっかけにフリースクールに通う子どもも、条件を満たせば小中高校に出席したとして認められるようになった。高校では不登校経験者向けに、学年の区分がなく一定期間に卒業単位を取る「チャレンジスクール」も増え、不登校経験者の選択肢は広がりつつある。 東京シューレの奥地圭子理事長は「不登校の時期があっても、再び人生をつくっていく力が子どもたちにはある。大人は、学校以外の選択肢もあることを知り、子どもに寄り添った対応が求められている」と話している。 (加藤文) PR情報
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