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【社会】

可視化対象3% 司法取引導入 冤罪懸念残し法制化へ

 捜査と公判の見直しに向けた法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が九日開かれ、刑事司法改革の最終案を全会一致で決めた。法制化されれば捜査当局が試行している取り調べの録音・録画(可視化)が義務化されるが、対象は全起訴事件の約3%にとどまるなど、新たな冤罪(えんざい)を生む懸念を残したまま三年の議論を終えた。 

 今秋の法制審総会で正式決定し、法相に答申する。法務省は、来年の通常国会に刑事訴訟法などの改正案を提出する方針。

 録音・録画を義務化する対象は、殺人や放火など裁判員裁判対象事件と、検察の独自捜査事件だけ。一部の委員から、対象外の事件も努力義務を課すべきだとの意見が出たが、採用されなかった。

 録音・録画の義務化とともに、司法取引の導入が大きな柱として盛り込まれた。検察官が容疑者らに起訴しないなどの見返りを与えて他人の犯罪を供述させる「協議・合意制度」と、刑事責任を追及しないと約束して他人の裁判で証言させる「刑事免責制度」の二種類で、いずれも経済事件や銃器・薬物事件が対象。

 薬物事件など四種類の犯罪に限られている通信傍受は、殺人、詐欺、窃盗など九種類を追加した。これまで必要だった通信事業者の立ち会いは不要とした。

 裁判員裁判対象事件などでは、検察官が保有する証拠の一覧表を、被告側に交付することになった。一家四人殺害事件で死刑が確定した袴田巌(いわお)さん(78)の再審開始決定を受け、冤罪被害者団体などが再審請求審で証拠開示制度の必要性を訴えたが、最終案には盛り込まれなかった。

 

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