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イノシシからE型肝炎

(2014年7月9日) 【中日新聞】【夕刊】【その他】 この記事を印刷する

3割超感染歴生食に注意

 野生鳥獣肉(ジビエ)の安全性に関する厚生労働省研究班の調査で、中国地方で捕獲されたイノシシの30〜42%にE型肝炎ウイルス(HEV)の感染歴があることが分かった。九州地方は22%、関東地方は8%だった。研究班は「人への病原性は強く、生で食べるのは厳禁」としている。厚労省は10日に検討会の初会合を開き、ジビエの衛生管理の在り方について議論を始める。

 ジビエ料理は自然の恵みとして珍重され、町おこしの特産品などとして注目されているが、法律に基づく食肉処理時の衛生検査はなく、自治体や事業者の自主的なガイドラインに委ねられている。

 研究班は2009年から13年にかけ、各地で捕獲されたイノシシの血液を調べた。中国地方では09〜11年捕獲の113頭のうち、HEV感染歴がある個体が42%に上り、全体の4%からウイルスの遺伝子を検出した。12〜13年に捕獲した76頭も調べ、30%の感染歴を確認した。

 検出された遺伝子は、山口県下関市で11年に発症したE型肝炎患者のウイルスと酷似しており、イノシシのウイルスが人に感染した可能性が高いという。

 九州地方ではイノシシ46頭の22%、関東地方では152頭の8%に感染歴があった。ウイルスの遺伝子は検出されなかった。近畿地方の71頭も調べたが、感染歴のある個体は見つからなかった。中部地方は調査対象となっていない。

 内閣府の食品安全委員会によると、イノシシやシカの肉を生で食べたことが原因とみられるE型肝炎発症事例は00年から08年半ばにかけ、それぞれ7人、11人が報告されている。

 ジビエ イノシシやシカ、キジなど狩猟対象で、食材として用いられる野生鳥獣肉を指す。フランス料理が有名で、日本でも扱う飲食店が増えている。地方では農作物の食害を防ぐために駆除したイノシシなどの肉を特産品として、地域活性化につなげようという動きもある。ただ調理時の加熱が不十分だと、E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌、寄生虫などによる健康被害のリスクがあるとされる

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