登山するなら気をつけたい。高山病を予防する「5つの対策」
水分補給
体が高地に適応しようとすると水分と塩分を失います。そこで起こるのが脱水症状です。運動すると起こしやすい症状ですが、高地では乾燥と寒気の影響で特に動いてなくとも起こる可能性があります。とにかくたくさんの水分補給を心がけましょう。適量はありません。いつも以上にしっかり飲んでみてください。温暖な気候で住んでいる人は、肌にまで乾燥を感じるかもしれません。
原文筆者は英国人ですが、高度が上がると肌の乾燥がひどくなるのがわかりました。私の場合、山の上で10歳以上老いたかのようでした。登山をする際は保湿成分が強いクリームを顔や手に塗り込み、肌の状態を保つと良いでしょう。
もし可能なら、室内で加湿器をつけるのもオススメです。乾燥した空気の中でも過ごしやすくしてくれます。色んな方法で、体の内外への水分補給を行ってください。
運動量は少なめに
高い場所では体を動かすこと自体が困難になります。わざわざ意識しなくても運動量は減るでしょう。ですが、初日から山に登るならぜひ覚えておいてください。運動量を減らすのは思った以上に難しいからです。
高度が上がれば上がるほど低酸素環境になっていきます。心臓へ負担もかかり、呼吸が速くなります。あっという間に心拍数が増加し、体力が消耗されてしまいます。
普段の運動習慣に関わらず、運動量はあえて少なくしましょう。特に高地での最初の数日。ランナーのための情報サイト「Runner's World」では、25~50%走る量を減らすことを勧めています。これはどんな運動にも当てはまります。
日焼け止めを塗る
高いところへ行けば、それだけ太陽に近づきます。つまり有害な太陽光線から守ってくれる大気が薄くなります。なので、日焼け止めは必ず塗りましょう。ロイター通信のDarrell Rigel氏は次のように述べています。
高地では、いつも以上に体をいたわってください。太陽光の量は、約300メートル上がる毎に8~10%ずつ増加します。特に夏は、平地より40~50%も強い日差しにさらされることになります。
日焼け止めは必需品です。帽子もかぶり、できる限り肌の露出を控えましょう。
質の良い睡眠をとる
質の良い睡眠をとることはいつでも大切なことですが、高地ではこれが難しくなります。さまざまな理由から睡眠不足が起こってしまうからです。アメリカ陸軍衛生部は次のように説明しています。
高地にいると睡眠に大きな影響が出ます。無呼吸が頻繁に起こり、睡眠が中断されます。「眠れないこと」や「夜中に目が覚めてしまうこと」についての報告は多々あり、それが気分の不安定さや日中に眠気を及ぼす原因になっています。こういった症例は標高1,524メートル程度から報告されています。
高地を訪れる場合は一般的な呼吸についてのアドバイスに従いましょう。自分の慣れた姿勢で寝ることや生理食塩水の入ったスプレーで鼻の通りを良くする、といったことです。米医療系ニュースサイト『WebMD』では「高く登り、低く眠る」ことで改善できると説明しています。
「高く登り、低く眠る」とは、いた場所より低いところで睡眠をとるという意味です。例えば、日中は標高2,896メートルの場所でスキーをし、夜は2,438メートルの位置で寝るということです。高緯度から低緯度への移動は高地でよく行われる方法です。
アルコール摂取に注意する
高地では酸素が少ないため、酔いがまわりやすいという説があります。実際はそうではありません。以前、「飲酒にまつわる8つの神話」という記事でご紹介したように、酔うのに場所は関係ありません。
米ギズモードでもお伝えしていますが、アルコール摂取は高山病からくる酔いをさらにひどくします。
高い位置にいることで血中アルコール濃度が通常以上に上昇するということはありません。それなのに、ひどく酔ったように感じるのは2つの原因があります。アルコールをとってしまうと「高山病による酔い」と「アルコールからくる酔い」が重なり、「ひどいめまい」を作り出すのです。
繰り返しますが、高地では十分な水分補給を行い、体を潤わせることが何より大事です。アルコールは利尿作用により脱水症状を引き起こします。数日アルコールなしで過ごし、体を環境に慣らしてから飲むようにすると良いでしょう。どうしても飲みたいなら、飲んだアルコールを中和させるほど多くの水を飲んでください。
Thorin Klosowski(原文/訳:瀬呉保)
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