突然ですが、みなさんは自分のコミュニケーション能力にどれくらいの自信を持っていますでしょうか。
ぼくが仕事を始めた15年ほど前にはあまり聞かなかった言葉のように思いますが、昨今ではいかなる職種であれ、このコミュニケーション能力が必要不可欠と言われています。営業はもちろんのこと、例えば技術職であってもだれかと共同でなにかを制作するということはよくある話で、仕事をしている以上、クライアントであれ同僚であれコミュニケーションが必要とされる場面は無数にあるわけです。ですから職場の研修などでもかなり力を入れられてますよね。
さて話は変わりますが、我が家には3歳の息子がおります。この3歳と日々を過ごしていると、ああ、これほどコミュニケーション能力を鍛えられる環境もないだろうな、と感じることがあります。みなさんの中にはコミュニケーション能力を鍛えるために、有料の講習やスクールなどに通われてるかたもいるかと思いますが、3歳児と一緒に過ごすだけでもかなり鍛えられるよ、という話を今日はしたいと思います。むしろ彼らを克服できれば仕事のいかなる場面にも対応し得ると言っても過言ではありません。今後のビジネスライフの参考にしていただければ幸いです。
突然始まるショートコント。
いきなり息子がインターホンの音を口にします。え? なに? どうしたの?と思ったら負けです。ただインストラクター(息子)は優しいので、対応できなくても大丈夫、的確に指示をされます。
「どちらさまですかって言って!」
言われた通りどちらさまですかってたずねると
「アンパンマンです」と言われます。
ここでも固まるようではこの先なかなか厳しいですよー。
いろんな仕事があったり様々なタイプの上司がいると思いますが、これほどの無茶ぶりもそうそうないでしょう。さあ、あなたの適応力が試されています。
何度も繰り返されるモノボケ。
朝はだれしもあわただしいものです。出勤時間やそれに間に合うための電車の時刻。ぼくの場合、さらに出勤前に息子を保育園に預けるというミッションまであります。
ようやく家を出る準備を終えて「行くよー」と息子に声をかけます。息子を玄関まで連れてくるのも容易ならぬことですが、なんとか連れてこれたとしましょう。しかしそこで油断してはいけません。なぜなら彼は
必ずママのくつを履いてでかけようとするから!
「それはママのやないかーい」
という標準的なつっこみもいいでしょう。しかし毎朝その繰り返しでは観客も飽きてしまいます(観客ってだれじゃ?)ですからここは「私はハイヒールにしょうかしら」くらいのノリ突っ込みができなければいけません。様々なバリエーションを準備しておいてください。というかそれ以前にイラッとくるのを抑える鍛錬も必要ですよ。どちらかというとこれはメンタルのトレーニングですね。
どっちでしょ?
みなさんの幼少の記憶にもあるのではないでしょうか。ちょっとした宝物を両方の手の中に隠してグーにして相手に見せ「どっちでしょ?」って当てさせるゲーム。ええ、なつかしいですねー。
息子もこれが好きで得意げにぼくにやってきます。ですが、そのときの彼の手から明らかに中身が飛び出てるんですね。おもちゃのはしっこがもう見えちゃってるわけですよ。その状況下で純真無垢な瞳で問われるわけです。
「どっちでしょ?」
なんだか「あなたの落としたのはこの金の斧ですか?」と正直な心を試されているような気持ちになります。なにも悪いことしてないのに罪悪感を感じます(そんなことないか)。おそらく欲にまみれた人間では3歳児からのこの問いに答えることはできないでしょう。さあ、あなたはどちらの手を指さしますか?
はひふへほーっていうバイキンマンはだあれ?
なぞなぞが好きな息子。これまた「どっちでしょ?」のときと同じ得意げな顔で問題を出してきます。質問の中にすでに答えが入ってるようにも見えますが、それともひっかけ問題なのか? 我思う、故に我アリ的な哲学の問いなのか。はたまたメタ認知か? あまりに深すぎる問いに即答できません。
仕事をしていると忙殺される日々の中で、ひとつの物事を多角的にじっくりと考える時間などなかなかとれないものです。しかしそういう問いの中にこそ本質があるものです(マジで?)
バイキンマンと答えてよいのか否か。はたまた中尾隆聖さんが正解なのか? どうしても気になるかたは、ぜひ身近な3歳児に直接たずねてみてください。
昨日食べた四角いの。
さあ楽しい3時のおやつ。そんなとき息子がリクエストしてくるわけですよ。「昨日食べた四角いのが食べたい」って。
え? 昨日食べたおやつってホットケーキで、あれは丸いよね、
なんて思ってはいけません。彼らの昨日は、我々の昨日をはるかに超越した、
生まれてからいままで!
なのです。ですから「昨日」なんてフレーズは、なんのヒントにもなりません。もちろん「四角いの」だけで特定できるはずもないのです。しかもね、ちゃんとリクエストに応えられないとマジギレしますよ、彼らは。たったこれだけの情報しか与えないのに・・・。
経験的に回答できるチャンスは多くて3回。いわゆる無理ゲーと思われるかもしれませんが、だからこその鍛錬なのです。
これを乗り越えたあなたは、例えば職場の上司が「あ〜、きみ、あれだよあれ、このあいだのなんだったけ、パソコンでカチャカチャしてくれたあれだよ」なんてことを言われても、動じることはなくなるでしょう。
何の躊躇もなく新作のDVDに手を伸ばす。しかも何本も!
アンパンマンとドラえもんのDVDが大好きな息子。毎週末レンタルDVD屋さんに通ってます。しかしレンタル屋さんってどうしてどこも新作を目立つ位置に置くんでしょうね、子持ちの親のことを考えたことがあるんでしょうか(あ、むちゃくちゃなこと言っちゃった・・・)おかげで息子はガンガン勝手に取ってきますよ、新作DVDを何本も。
鍛錬が足りなかったころのぼくは「だめだよ、勝手に持って来ちゃ」と言ってました。でもそれは逆効果なのです。「イヤー、これ見るのーーーー!!!!!!!」ってなります。親子でDVDの引っ張り合いになります。
ですから最近は「うわ!これマジ面白そう!」と一緒になってはしゃいでいったん受け取り、息子の気が散ったときにそーっと元の場所に戻すということをしています。
一応これで「ダメー!!」「イヤー!!」という不毛なやり取りはなくなったんですが、こっそりと元に戻しているのでレンタル屋さんを出た後に、借りたと思ってたものがなかった息子がちょっとだけ悲しげな顔をします。これには少し心が痛みます。(ちゃんと1本は借りてるんですよ)でも、しようのないことなのです。あーいや、もっといい方法があるのかな。これについてはぼくもまだ鍛錬中なので、なにかをつかめたらまたご報告します。
いかがだったでしょうか、3歳児と一緒にいるというのがいかにコミュニケーション能力を育むのに適した環境か、分かっていただけたのではないかと思います。彼らと完全に意思疎通することは大変に困難を極めることですが、通じた合ったときの幸福もまたひとしおです。ぜひともその幸せを体感してみてください。本記事がみなさんが行動を移すためのきっかけになれば幸いです。
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抱っこ大好きでなかなか歩かない息子にスーパーでチロルチョコを1個を買ってあげて「これを食べながらでいいからおうちまで歩いて帰ろうね」と言ったら、ちゃんとがんばってくれたんだけど、ふだんあんなに言い聞かせて徒労に終わってばかりだったことが、たった数十円で解決したこの虚無感。
— ほう太パパ (@houta30) 2014, 7月 7
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