The Economist

タイ経済:テフロンが剥げ落ちる時

2014.07.10(木)  The Economist

(英エコノミスト誌 2014年7月5日号)

タイ経済は、国の政治問題を受け流すことはできない。

タイ軍政、W杯無料放送で国内に「幸福取り戻す」

プラユット・チャンオチャ将軍が率いる軍事政権は、発足以降、カネをばら撒いている〔AFPBB News

タイの軍事政権が国民と良好な関係を築くための1つ目の教訓を見いだすのに、長い時間はかからなかった。迷った時はカネを使え、という教えだ。

 プラユット・チャンオチャ将軍が率いる軍事政権「国家平和秩序評議会(NCPO)」は、発足から1カ月の間、精力的に国庫のカネを放出してきた。

 NCPOは退陣に追い込まれたインラック・チナワット政権が導入した助成金制度に基づき、924億バーツ(28億ドル)近いカネをコメ農家に支払った。そして現在、720億ドルを超えると見られる大掛かりな交通輸送構想を検討中だ。

 NCPOは、タイ投資委員会(BOI)――プラユット氏は自らを委員長に任命した――の承認待ちとなっている210億ドルに上るプロジェクトの推進も約束した。6月18日に行われたクーデター後初のBOIの会議では、総額40億ドルに相当する18のプロジェクトが承認された。

 経済的ポピュリズムの上に成り立っていた政権を退陣させた後、NCPOは、時には真似ることも統治手法として悪くないと判断したようだ。NCPOはワールドカップ(W杯)の試合が無料のテレビ局で放映されるよう取り計らった。

 タイ国民はそれを好意的に受け止めているようだ。クーデター後の世論調査によれば、消費者信頼感指数は4月の67.8から5月には70.7に上昇し、13カ月連続の下落傾向が反転した。株式相場は軍が全権を掌握した翌日の5月23日に下落したものの、その後は着実に上昇してきた。7月1日にはSET指数が1486をつけ、年初来17%近く上昇していた。タイの通貨バーツも同様に、クーデター後の短期的な下げから反発に転じた。

観光業に大きな影響、外国からの直接投資にも陰り

 だが、万事順調とは到底言えない。2014年の第1四半期にタイの国内総生産(GDP)は前四半期比で2.1%、前年同期比で0.6%減となった。経済のおよそ7%を構成する観光産業は著しく落ち込んだ。データ提供会社STRグローバルによれば、今年1~5月期のホテルの客室稼働率は2013年同期より15%低かった。6月にはタイ中央銀行が2014年の経済成長予想をほぼ半分の1.5%まで引き下げた。

 外国直接投資(FDI)の投資家も弱気のようだ。こうした投資家は2014年1~5月期に、総額2300億バーツ相当の334件のプロジェクトをBOIに申請した。これに対し、2013年同期には、2560億バーツ相当、526件のプロジェクトの申請があった。通常、申請が最も多い日本の投資家は特に慎重で、申請額が半分以下に減った。

 こうした落ち込みの一部は、間違いなく循環的なものだ…
Premium Information
「The Economist」の定期購読はコチラからお申し込みください。
JBpress特典として、最新号がプレゼントされます。
楽天SocialNewsに投稿!
このエントリーをはてなブックマークに追加

バックナンバー

Comment

アクセスランキング
プライバシーマーク

当社は、2010年1月に日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より、個人情報について適切な取り扱いがおこなわれている企業に与えられる「プライバシーマーク」を取得いたしました。

Back To Top