橋下市長、USJのカジノ参入を拒否 「信頼関係ない」
http://www.asahi.com/articles/ASG7773XNG77PTIL02V.html
橋下徹大阪市長は7日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)事業に参入の意欲を示していることをめぐり、「僕はUSJの経営者と信頼関係はない。任期中はUSJと信頼関係を築けない。だから、ほかの業者にやってもらいたい」と語り、参入に否定的な考えを示した。
現時点で構想されている我が国のカジノ導入の形式は、国から指定を受けた地方自治体が開発業者を選ぶ方式となっており、もしUSJが大阪市との信頼関係を築けていないのであれば、最終的に市から事業者として選ばれるのは難しいことでしょう。その点は、私もそう思います。
でもね、その種の事業者の選定というのは、あくまでカジノ導入が決定した後に、入札を通じた公正なる評価を経て判断が行われるものであって、まだ何も決定していない段階からどこの事業者はダメとか、良いとか行政側からコメントが出てくる事自体がオカシな話になっているのですよ。ましてや、上記コメントの中で橋下氏は「自分の任期中は」と、何だか市長たる橋下氏との個人的な関係の中での判断かのような発言をしており、もはやそうなってくると事業者の選定はそういう個人的な関係の中から選ばれるのか?みたいな話になってしまうので、ますますオカシな事態になってしまいます。
この辺は、産経新聞が追加取材のなかでさらに詰めてますね。以下、産経新聞による報道。
「理由は社長が一番知っている」カジノ誘致で橋下市長、USJ参入に否定的見解
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140708/waf14070812140021-n1.htm
この日、記者団からUSJ側を問題視している理由を問われ、「何のことかは向こうの社長が一番知っている。忘れたと言うのだったら、もう信頼関係を築けない相手だ」と述べた。市がUSJと市有地の賃料をめぐって裁判で争っていることが一因か尋ねる質問には、「そういうことではない。それは司法の場でやればいい」と語った。
冒頭の朝日新聞の第一報では、USJが土地賃料を巡って大阪市と裁判になっている事が背景にあるのではないか?という市職員のコメントを掲載していたわけですが、当の橋下氏は産経による追加取材の中で「そういうことではない」と裁判との関係をバッサリと否定したうえで、「理由は(USJの)社長が一番知っている」と、また非常に「含み」のある発言をしているワケです。こうなってくると、完全に「あぁ、市長とUSJの社長の間に何か因縁があるのだな」と、要らぬ邪推が呼び起こされるだけなので、あんまりよい傾向ではないなと。。
繰り返しになりますが、この種のものはあくまで入札での審査を経て決定が行われるものであって、今の時点から市長の独断であそこが良いとか悪いとかの評価がなされるべきものではありません。
正直申し上げると、どうも最近の大阪界隈のカジノ導入を巡る動きに関しては、非常に不透明な部分が多くて、開発候補地の決定プロセスに関しても何となく釈然としないところがあるなというのは、以前のエントリの中でも述べたことです。
大阪、カジノ候補地は「夢洲(ゆめしま)」
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8331094.html
上記エントリで書いたことの巻き直しになりますが、大阪府内では橋下市長が推進する夢洲のカジノ構想だけではなく、関空のお膝元である泉佐野市など複数の候補地が存在しています。ところが、現在の大阪のカジノ構想は、大阪府と大阪市の両者によって構成される「大阪府市IR立地準備会議」の中で論議がなされ、大阪市以外に立地する候補地が全く検討されることなく、必然的に大阪市の夢洲に候補地が決定してしまった状態なのですね。
一方で、同様に府内でカジノ候補地として検討を続けてきた泉佐野市とっては、論議のテーブルに乗せられないまま大阪府の候補地からは外されてしまったという状態。そもそも泉佐野のカジノ構想は、2002年に太田知事の時代に大阪府が主導して進めたものであって、今更のように全くの論議もないまま府からハシゴを外されてしまえば、泉佐野としては「戸惑い」以外のナニモノでもないという話になります。
要は、同一都道府県内における候補地選定に関しても、すべての候補を並べた上で公正な基準をもって選定が行われるのが本来の姿なのであって、何となく色んな思惑で物事が決まってゆくような環境は好ましくない。そのような原理原則が正しく認知されないまま立地選定が行われ、また冒頭でご紹介した橋下氏による事業者に対する発言などがなされている状況は、極めて危ない状態であるといえましょう。その辺り、関係者の方々は努めて修正を行ってゆかなければ、のちに必ずトラブルの元になるものと思われます。