「反日」で韓国に続き台湾取り込みを狙う習主席

「盧溝橋事件」77周年で異例の国民党「抗日戦功」言及
日本軍が中国で降伏した戦区について「全て国民党が降伏させたもの」
台湾・馬総統「慰安婦博物館建てる」
抗日闘争たたえる音楽劇で中国国歌演奏も

 日中戦争のきっかけとなった「七七事変」(盧溝橋事件)77周年に当たり、中国の習近平国家主席が抗日戦争時の国民党の功労を認める趣旨の発言を複数回したことが分かった。中国共産党の最高指導者が国民党の功績を評価するのはほとんど前例がない。1980年代まで中国の教科書は国民党と蒋介石同党総裁を「土匪」(盗賊)と書いていた。

 中国紙・北京青年報は8日、「習主席は7日、中国人民抗日戦争記念館の広場で演説後、記念館を見学し、国民党について2回質問した」と報じた。記念館の案内員が「抗日戦争で戦死した将軍295人の名前が14の石碑に刻まれている」と説明すると、習主席は「国民党(の将軍)も共産党(の将軍)もみんなここに入っているのか」と尋ねた。さらに、日本軍が中国で降伏した十数カ所の戦区について説明を聞いたときも、習主席は「降伏させたのは全て国民党だったのか」と尋ねた。国民党政府は45年8月、日本が敗戦すると、中国を10以上の戦区に分け、日本軍を降伏させた。

 習主席は7日の演説でも「(日本と)正面から戦うときも、敵の後方から戦うときも、数多くの愛国志士が死を恐れずに血まみれになって奮戦した」と語った。北京の政界消息筋は「抗日戦争時、国民党軍は日本軍と正面から戦い、共産党は後方からゲリラ戦を行ったケースが多かった」と話す。

 49年に政権を執った共産党は、抗日戦争を共産党が主導したかのように宣伝している。しかし、37年の盧溝橋事件をきっかけに日中戦争が本格化したとき、共産党は「大長征」を終えたばかりの状況だった。十数万人で出発した共産党軍は1万5000キロメートルに及ぶ行軍の間に約8000人にまで減った。国民党が前方から日本と戦おうとして大きな被害を受けた一方で、共産党は後方で戦力を蓄えたという話もある。これにより共産党は「国共(国民党と共産党)内戦」を勝利に導くことができたというわけだ。北京の外交消息筋は「習主席がこれまで言及したことのない国民党の抗日戦争での功績について公の場で語り始めたのには、『反日カード』として韓国に続き、台湾も取り込もうという意図があるとみられる」と指摘した。

 台湾紙「聯合報」によると、台湾の国民党に所属する馬英九総統は「七七事変」77周年記念行事で「台湾は日本軍の従軍慰安婦歴史博物館を建設する」と述べたという。また、中国紙「人民日報」海外版は同日「台湾の公演団が6日、台北で抗日闘争をたたえる音楽劇を上演し、共産党軍歌『義勇軍行進曲』(現在の中国国家)を演奏した」と報じた。49年に中国から追われ台湾に行き着いた国民党(台湾の与党)勢力は反日感情が比較的強いといわれている。しかし、台湾生まれの民主進歩党(台湾の野党第一党)勢力は日本の植民地支配を経験してはいるものの、日本に対して友好的な感情を持っている。これは、台湾の先住民が「帝国主義時代の日本は台湾の近代化に力を注いだが、中国は台湾から搾取した」と考えているためだ。

北京=アン・ヨンヒョン特派員
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