ベネッセ:情報流出で進研ゼミ信用失墜 新社長多難な船出

毎日新聞 2014年07月09日 22時21分(最終更新 07月10日 01時21分)

記者会見で頭を下げる原田泳幸会長兼社長(手前)=東京都中央区で2014年7月9日午後6時26分、喜屋武真之介撮影
記者会見で頭を下げる原田泳幸会長兼社長(手前)=東京都中央区で2014年7月9日午後6時26分、喜屋武真之介撮影

 ベネッセホールディングス(HD)で発生した顧客情報流出は、経営にも影響を与えそうだ。学生や児童を対象にした通信教育が事業の柱である同社にとって、利用者からの信用が傷つく損失は極めて大きい。日本マクドナルドHD社長などを経て6月に就任した原田泳幸(えいこう)会長兼社長は、駆け出しから大きな壁にぶつかった。

 「お客様はお怒りになると理解している。丁寧に(事件概要と再発防止対策を)説明したい」。原田社長は東京都内で開いた記者会見で、原因究明と再発防止策を急ぎ会員の引き止めに全力を挙げる方針を示した。前社長の福島保副会長と明田英治最高情報責任者(CIO)が引責辞任を申し出たことも明らかにしたが、自身の処分は「考えていない」と経営責任を否定した。

 今回の問題が同社の業績に与える影響は読み切れない。原田社長も「短期的にはブランドイメージへの影響がある」と認めたが、どの程度の影響かについては「分からない」と厳しい表情で答えるのが精いっぱいだった。

 原田氏の社長就任は、少子化やインターネットの普及など構造的な逆風が強まる同社の事業に新風を吹き込むことを期待されてのことだ。事業の柱である「進研ゼミ」など通信講座の会員数は今年4月時点で365万人と、ピーク時から50万人以上減少し、じり貧傾向に歯止めがかかっていない。

 今月2日の経営方針説明会では「進研ゼミは、圧倒的なブランド力と会員数を持つ我が社独自の強み」と強調。マクドナルド時代にできたてメニューの提供や24時間営業の拡大などで業績をV字回復させた経験を引き合いに、タブレット端末を使った教材配信の拡大などで本業を立て直す考えを自信たっぷりに語った。今回の情報流出問題はその出はなをくじいた形で、まずは再発防止の徹底と信頼回復の責任が最優先課題になる。

 内藤証券の田部井美彦投資調査部長は「教育産業にとって最も大切な信用が損なわれ、業績への影響は避けられないだろう。どう対応するかが非常に重要で、原田社長の最初の大仕事になる」と話した。【神崎修一、種市房子】

 ◇ベネッセホールディングス

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