ベネッセ:顧客情報2070万件流出か 役員引責辞任も
毎日新聞 2014年07月09日 18時52分(最終更新 07月10日 01時06分)
通信教育大手のベネッセホールディングス(岡山市)は9日、最大で約2070万件の顧客情報が外部に流出した可能性があると発表した。情報は名簿業者やIT事業者の手に渡り、少なくとも約760万件の子どもの氏名や住所などの流出が確認されている。原田泳幸(えいこう)会長兼社長は同日、東京都内で記者会見し、「お客様に多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪した。同社は社内のデータベースにアクセスする権限を持つ社員以外の関係者によって不正に持ち出されたとして、警視庁に相談し、同庁は不正競争防止法違反容疑で捜査を始めた。
◇関係者不正持ち出し 子の名前、住所…760万件確認
同社によると、6月26日以降、顧客から「ベネッセにしか登録していない個人情報を使い、他社からダイレクトメールやセールスの電話が来ている」という問い合わせが45件あった。調査会社などに委託して調べたところ、同社の顧客情報約760万件を含む名簿を販売している名簿業者を特定。名簿は通信教育事業を行うIT事業者に売却されたとみられる。
流出情報は社内の特定のデータベースで管理されていたもので、子会社のベネッセコーポレーション(同)が扱う「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」など計27の商品・サービスを利用した約2070万件の子どもや保護者の氏名、住所、電話番号、生年月日などが保存されていた。同社はクレジットカード番号や銀行口座が漏えいした可能性は低いとしており、現時点で流出は確認されていないという。
また、社内調査の結果、外部からの不正アクセスの形跡はなく、情報の持ち出しにグループ会社を含む同社社員の関与はないとしている。同社は、顧客にダイレクトメールなどを発送したIT事業者と名簿業者に情報の使用停止を求める内容証明を送付。IT事業者には面談を求めているが回答がないという。
原田社長によれば、流出時に同社の社長だった福島保・現副会長と、ベネッセコーポレーション社長だった明田英治・現CIOは漏えいの全容が解明された後に、引責辞任する方針。情報管理の安全性が確認されるまで、テレビCMなどの販売促進活動は停止する。
対象となる顧客には書面で説明するとしており、問い合わせは同社個人情報保護窓口(0120・924721)。【斎川瞳】