勝間和代のクロストーク:feat.瀧波ユカリ/136 セクハラをなくすには

2014年07月09日

 今回のテーマは「セクハラ」です。

 東京都議会に続き、国会でも「セクハラやじ」が発覚しました。しかも構図はほぼ同じ。中高年の男性議員から、30代の女性議員に結婚、出産に関するやじでした。

 ハラスメントの多くでは、言われた側は傷ついたり、腹を立てたりしますが、言った方はさほどひどいことを言ったと思っていません。それが問題の一つです。

 都議会の当事者の議員は謝罪会見で、自分が少子化や子どもの問題に長年取り組んできて、その気持ちから出たかのような表現をしました。また、外野からは「結婚や出産について聞いて何が悪い」と、やじを擁護する発言もありました。

 それこそセクハラへの無理解を物語っていました。セクハラは、必ずしも「悪意」から生まれるものではありません。セクハラはときには「善意」からも生まれます。「相手の気持ちを推し量れない」という無能力から生じるからです。

 最初から心を通じ合えない、多様な人々が集う場所では、常にハラスメントが起こり得ます。私は長く外資系企業で働きましたが、年代や性別、人種、宗教も含めて多様な人が働いているため、感覚や価値観の違いによるハラスメントが構造的に起きると企業側が自覚していました。だから、防止のために詳細なマニュアルや研修を用意し、それでも起きた場合はどこに通知して仲裁を受けるかまで仕組みが決まっていました。

 ところが、議会は中高年の男性議員がほとんどで、多様性への心構えや準備が欠けています。それが、ハラスメントの温床になっています。

 私が外資系企業などでの体験で学んだのは、主に次の二つです。

 (1)自分の考えは特定の価値観に基づく。別の価値観の人もおり、自分と対等の権利がある。

 (2)価値観の違いを無視した「余計な口出し」は、悪意がなくても相手を傷つける恐れがあるためしない。

 さまざまなハラスメントは、メディアでも生じています。男性のサッカー日本代表「サムライブルー」が活躍しても私生活は根掘り葉掘り聞きませんが、女性の「なでしこジャパン」が活躍した際は、恋愛や趣味などプレーと関係のない質問をしていたのが典型例です。今回も、やじられた女性議員の過去が取りざたされ、セクハラの2次被害と思えました。

 セクハラについての理解は一部企業では進んでいますが、国や行政、メディアで遅れています。

 理解せず、ただ言葉尻をとらえた非難合戦になっては、かえって男女間の溝を広げてしまうでしょう。セクハラとは何か。それをなくすにはどうすればいいか。この際とことん議論しましょう。セクハラの被害に遭った方の体験も聞きたいですし、私の意見への異論も大歓迎です。多様なご意見をお待ちしています。(経済評論家)=ご意見は毎日新聞ニュースサイト(http://mainichi.jp/feature/katsuma/)まで。次回は23日掲載。来週は「毎日ぶっちゃけ堂よ」です。

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 ◇女性議員へのやじ

 今回のテーマのきっかけは、先月の都議会本会議で飛んだ、「早く結婚した方がいい」などの一連のやじです。

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