国際激流と日本

異彩を放つ「NYタイムズ」の反日スタンス集団的自衛権の行使容認を猛批判

2014.07.09(水)  古森 義久

 以上のような解説は、安倍政権自体の主張とほぼ同じだと言える。要するにこの新聞の社説は、安倍政権の取った政策を歓迎し、賞賛までしているのである。

中韓の恐怖や不信をさらに煽ると批判

 ところが対照的にニューヨーク・タイムズの同じ7月2日付社説は、がらりと異なる。見出しは「日本と軍事力の限界」となっていた。その冒頭には、以下のような記述があった。

 「安倍晋三首相は日本の平和主義的な憲法を再解釈し、日本の軍部が第2次世界大戦以来、最も積極果敢な役割を果たせるようにすることによって、日本国民の多数を動揺させ、アジアでの心配を増大させた。日本の軍事的な役割のシフトというのはいつの場合でも多数の国民にとって容易に受け入れられないのだが、安倍首相のナショナリスト的な政治は、そもそも緊張の削減が必要な今のアジア地域において、今回の(集団的自衛権行使容認という)変化の受け入れをさらに難しくした」

 この冒頭の主張だけでも、ニューヨーク・タイムズの思考がウォールストリート・ジャーナルとは根本から異なることが明白である。要するに、安倍首相はそもそもけしからん、危険だ、という前提から始まるのだ。

 ニューヨーク・タイムズ社説の安倍批判はさらに続く。

 「安倍首相の前に立ちふさがったのは日本国憲法の第9条だった。同9条は『日本国民は国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する』としている。この条文のいかなる変更も、国会の両院の3分の2以上の賛成と国民投票での承認を得る憲法改正の手順を踏まなければならない。だが、安倍氏は自分の政権に憲法を再解釈させることで、このプロセスを迂回したのだ」

 「日本の軍事的役割を修正することは、日本国民の多くが外国の紛争に引きずりこまれることへの恐怖を声にしているように、論議の余地が多く、重大である。一部の世論調査では50%ほどの回答者が憲法再解釈への反対を表明し、このところ数千人の人たちが首相官邸の前で抗議を続けている」

 「この日本の動きに対し、フィリピンのような一部の国…
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