漢字を当て字のように用いてアニメや漫画などの登場人物や外国人のような名前に読ませる、いわゆる「キラキラネーム」。子どもの名前に増えているようだが、実は最近、角界にもこうした一風変わったしこ名の力士が相次ぎ登場している。伝統が重んじられるはずの国技の世界で、いったいなぜこうした現象が起きているのだろうか。
■2013年1月場所から続出
「キラキラネーム」は明確に定義されたことばではないが、一見しただけでは読めないような当て字や、外国人によくある名前を強引に日本の漢字に当てはめるなど、一般的に奇抜と思われるような名前を指すことが多い。
そんな異色のしこ名の力士が立て続けに登場したのは、2013年の1月場所からだ。式秀部屋から爆羅騎源氣(ばらき・げんき)が初場所を踏んだのを皮切りに、同年3月場所には光源治晴(ひかるげんじ・はる)が峰崎部屋から登場。その後も、式秀部屋から桃智桜五郎丸(ももちざくら・ごろうまる)と宇瑠虎太郎(うるとら・たろう)が、立浪部屋では豊乃浪祐貴(とよのなみ・ゆうき)が天空海翔馬(あくあ・しょうま)に改名するなど、昨年から今年にかけて個性豊かなしこ名が数多く誕生した。
そもそも力士のしこ名は、どうやって付けられているのか。
■厳密なルールはない
力士のしこ名は通常、部屋の親方や、力士が世話になった関係者などが相談して決める。しこ名が決まれば日本相撲協会に「改名届」を提出し、番付編成会議で認定されれば、晴れて正式なしこ名になる。
最も一般的な名付けの仕方は、「部屋に伝統の1字をもらう」というものだ。たとえば佐渡ケ嶽部屋の力士はみな「琴」の一字をしこ名の頭に冠している。ほかにも春日野部屋は「栃」、九重部屋は「千代」……といった具合に、しこ名を見ればその力士が所属する部屋がわかるケースも多い。
しかし意外なことに、日本相撲協会ではしこ名付けに関して厳密なルールを設けてはいない。使ってはいけない文字や字数の制限などもなく、唯一のタブーは、既にいる力士としこ名をかぶせることくらいだというのだ。
それなら「キラキラしこ名」は昔もあったのではないかという疑問が浮かぶ。確かに、「キラキラしこ名」は必ずしも最近になって急に登場したわけではない。歴史をさかのぼると、明治時代には「自動車早太郎」「電気燈光之助」「猪シ鍋吉」「三毛猫泣太郎」――など一風変わったしこ名の力士が存在したこともある。
■命名由来は大ファンのアイドル
ただ現在のように相次いで登場するようになったのはなぜなのか。その背景を探るべく、3人の力士の改名を担った式秀部屋親方、元北桜の式守秀五郎さんに話を聞いてみた。すると意外な答えが返ってきた。
式秀親方は、命名したときにはキラキラネームの存在を知らなかったというのだ。「なんとか力士のやる気を引き出してやりたい」との一心で付けた名前が、結果的にキラキラネームと呼ばれる名前になってしまっただけだという。
桃智桜の場合はこうだ。命名の由来は、桃智桜がアイドルグループ「Berryz工房」所属の嗣永桃子さん(通称ももち)の大ファンだったから。力士の好きなものをしこ名に取り入れることで、相撲への前向きなモチベーションを呼び起こせるのではないかと考えた。
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