福島第1原発事故:裁判外解決手続き 賠償一律半額に

毎日新聞 2014年07月09日 07時30分(最終更新 07月09日 09時48分)

原発ADRによる和解成立事例
原発ADRによる和解成立事例

 野山氏は「本当は寄与度が100%認められる事例もあるが、とりあえず(和解案では)50%と出す。丁寧に審理したら、とても今の期間(1件につき平均約6カ月)が維持できない」と迅速化が背景にあると説明した。原発ADRは正式な裁判では時間や弁護士費用がかかり、被災者の負担が重いために作られた制度だが、野山氏は「批判はあるかもしれないが、こういうやり方が限界。不満ならば裁判をやってください」と主張した。

 原発賠償の基準を巡っては、センターの上部組織である「原子力損害賠償紛争審査会」が策定した指針と、センター内部で決めた「総括基準」があり、いずれも公表され、賠償の対象や期間、金額などが記載されている。ところが、50%ルールに関する記載はなく非公表だ。センターは取材に対し「50%は目安であり(仲介委員を拘束する)基準ではないため、公表する必要はない」としている。

 東京電力広報部は「寄与度について回答する立場にないが、仲介委員が各事案の個別事情を踏まえ、提案されているものと理解している」としている。

 ◇ことば【寄与度】

 事故や事件による被害に対して、加害者の行為だけではなく、持病など被害者がもともと持っていた要因も結果に影響した場合、被害全体に占めるそれぞれの要因の割合。たとえば、もともと精神疾患があり、交通事故で疾患が悪化した場合、「事故の寄与度は70%」と算定した裁判例がある。この考え方に基づく司法判断や和解を「割合的認定」や「割合的解決」と呼ぶこともある。

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