岩本美帆、編集委員・高橋真理子
2014年7月9日12時11分
今年1月28日、神戸市の理化学研究所。無機質な設備が並ぶ場所での記者会見は、普段と全く違う華やかな雰囲気に包まれていた。
カメラの前にいるのは、小保方晴子氏(30)。アイラインを強調したフルメークに巻き髪、指にはゴールドの大きな指輪。いやが応でも目をひく、とそこにいた記者は感じた。
彼女が立ち上がると、ひざ上丈のフレアスカートがふわりと揺れ、フラッシュが一斉にたかれた。歴史に残る大発見をしたのは「若くてかわいらしい女性」だった――。
一連のSTAP細胞問題は、ワイドショーも連日取り上げ、みんなの関心の的になった。なぜあれほど人々をひきつけたのだろう。
STAP細胞の真偽のせいばかりではない。彼女個人に対する関心が非常に高かった。それは誰の心にも眠る「意識の底にあるもの」のためではないか。
人は時に性別や年齢、容姿といった属性だけで判断を左右してしまう。あるいは利用し、消費する。眠っているときもあれば、表に顔を出すときもある。人々の思考に大きな影響を与えている。
最近では、都議会や国会でのヤジ騒動もあった。問題となったヤジは明らかな偏見だ。普段は口に出して言わないものが、不規則な形で表出した。
「女が生きる 男が生きる」というこのシリーズを始めるにあたって、この「隠れた意識」に向き合いたい。それを自覚することが、誰もが生きやすい社会を実現する最初の一歩になるかもしれないと考えるからだ。
まずは、STAPフィーバーを見た女性科学者の話から始める。(岩本美帆、編集委員・高橋真理子)
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