2014-07-09
■健忘録2014 〜梅雨の中、劇場で観た映画〜

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
トムクル無双。今となっては良いイメージがあるが、その昔「洋ゲー」は「クソむずい覚えゲー」として悪いイメージがあった。あの頃のゲームをしているような感覚がよみがえった。中盤以降も「ある!ある!そーいう意地の悪い設定!」とスリリングな気持ちに。エクゾスケルトン・アーマーって男の子の夢だよね!
『マダム・イン・ニューヨーク』
40代のインドの主婦が海外で結婚式をあげる親戚のために、単身ニューヨークへ。しかし彼女は英語がからっきしだった…… というハートウォーミングでウェルメイドなインドコメディ。東京ガスの「おばあちゃんの料理編」っぽい切なさもあって大変素晴らしい。いわゆるインド映画/マサラ・ムービーとは違った、ささやかで可愛らしい作品。主演のシュリデビィさんは80年代を代表するボリウッド・スターで現在50歳。紛れもない美魔女。
『サードパーソン』
脚本家出身監督らしい込み入った構成。確かにさまざまな“糸”が縒りあって1本の物語に収束する構成はすごいけど、出来上がった物語が、なんだか凡庸というか。無い頭使わせられて到着した情景が苦労に見合わない感じで徒労感の方が強い。錯視アートとかノイズ・ミュージックみたいなもので、細かなディテールを追うのじゃなく全体をぼんやり捉えて雰囲気を楽しめばイイのかな? まぁ、なんか、こまっしゃくれて気取った映画ですねえと愚痴の一つも言いたくなる。
『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』
ケネディ大統領暗とその後の全4日間、残されてしまった人々を描く。取り返しがつかない事態に対する人間の百景といった風情。物語らしい物語は無いものの、瞬間最大風速の強いドラマティックさには溢れている。大きな事件に対する色々な人のツイートみたいな感じで、非常にこんにち的な構成だなぁ。
『her / 世界でひとつの彼女』
スパイク・ジョーンズの新作は『マルコヴィッチの穴』や『アダプテーション』に似た思考実験の様相。際限無く学習できる上にウェブに常時接続しているクラウド型の人工知能。対して肉体があるが故に進化を遂げられない人間。その寂寥とした風情と仄かに灯るふれあいがワビサビ。
『劇場版テレクラキャノンボール2013』
AV監督たちが北海道までの道のりをレースしつつ、拠点々々で女性にAV出演交渉をし、その撮影内容を競うレースを追ったAVの劇場版。『her / 世界でひとつの彼女』と同じ日にハシゴしてみたので、人間の人間たる依り代とか、恋愛やセックスを定義するものって何なんだろう? とか考えさせられた。見ている間は爆笑し続けていたんだけど。
『収容病棟』
いま、一番注目されている映像作家ワン・ビンが中国の貧困地域にある精神病院を題材に撮ったドキュメンタリー作品。にわかには信じ難いものしか映っていない。ハイパーアクティブ気味な若者が何か注射をされて、絵に描いたようなダウナー系狂人になる場面や、鷹揚なオッサンと添い寝をするために争う2人と、おそらく政治的な理由で収容された、精神に異常の無さそうな人物が同じ1室の雑居房に収容されている光景など、言葉では伝えにくい奇妙な光景ばかりが4時間続く。
『トランセンデンス』
知恵をつけて追放されたジョニデが立てなかった老人の足や見えなかった青年SFの目を治すという奇跡を行い信者を増やすが、裏切り者のせいでまたも追われてしまう。という旧約と新約ごっちゃにしたSF。クリストファー・ノーラン組の撮影監督の監督デビュー作。なのでモーガン・フリーマンやキリアン・マーフィーも出演。やはり、ことSF映画のようなジャンルものでは画面に向かって「うっそでぇ〜!」と言いたいような描写が映える。
『マレフィセント』
アンジー渾身のゴス魔女がヤバ過ぎるほどカッコいい映画。監督は多くのファンタジー大作で特殊効果やプロダクション・デザインを務めた人。なので、陰影の使い方や情景の雰囲気が素晴らしく良い。『アナと雪の女王』との類似点が多いのも興味深い。エル・ファニングのオーロラ姫が素敵!きゃー!