デスクトップの複雑なコンテンツに対するものとして、アコーディオンが常に答えになるとは限らない

公開:2014年7月9日付(日本語版)、2014年5月18日付(原文) 著者:Hoa Loranger
原文(英語):Accordions Are Not Always the Answer for Complex Content on Desktops

要旨

ページは、長いほうがユーザーのためになることもある。アコーディオンはページを短くし、スクロールの回数を減らすが、インタラクションコストを上げてしまう。トピックの見出しに対する判断をユーザーに要求するからである。


アコーディオンメニューとは見出しを垂直方向に並べたリストで、見出しをクリックすることでそれに関連したコンテンツを出したり、見えなくしたりできるもののことである。これはコンテンツをユーザーに徐々に見せる方法の1つで、広げたり、あとで見るために隠したままにすることでコンテンツをコントロールできるので、読むものと無視するものをユーザー自身で決められる。ユーザーがコントロールできるようにする、というのは、ユーザブルなデザインのための最重要ヒューリステックスリストの3番目にあたる。したがって、理論的には、このデザインのコンセプトはかなり人間中心であるように聞こえる。

jqueryui.com: アコーディオンの一例。アコーディオンはコンテンツの提示方法として、理論的には有益である。コンテンツのどれを見て、どれを見えないままにしておくのかのコントロールをユーザーにゆだねるので、情報量に圧倒されることが減るからである。

コンテンツが豊富な長いページにアコーディオンを利用することには他にもメリットがある:

アコーディオンに関するユーザビリティ上の主な課題

アコーディオンは複雑なコンテンツの提示方法として理想的に思える。しかし、他の多くのウィジェットや実装同様、万能な解決策ではない。アコーディオンの主なマイナス面は以下である。

デスクトップでのスクロールと長いコンテンツページについての俗説

多くのWebサイトオーナーは間違った理由からアコーディオンを実装している。

我々の調査レポート、「ユーザーのWebでの読み方: アイトラッキングによる証拠」からの抜粋: この例が示しているのは、情報が自分に関係があり、Web向けのフォーマットになっていれば、ユーザーがいかにページを下までスクロールして読むか、である。

アコーディオンの利用に関する基準

アコーディオンを利用するかどうかを判断するには、あなた方のオーディエンスにとっての一般的かつ必要不可欠なユースケースの評価から始めるのが一番だ。ユーザーのシナリオを理解することが、アコーディオンが適切かどうかを判断するのに役に立つからである。そのときに最も重視すべき検討事項の一部を以下に示す:

アコーディオンを避けるべきなのは、あなた方のオーディエンスがコンテンツの大半あるいはすべてを見ないと、彼らの疑問への回答が得られないときである。そうしたユースケースでは、ページのすべてのコンテンツを一度に見せるほうが良い。この場合、ページの長さはそれほど気にしなくてよい。関連度はページの長さに勝る。ユーザーが一度のセッションですべてのコンテンツを読みたいようなら、彼らが不必要なクリックをしないですむようにしよう。ページにあるコンテンツが自分の疑問に関連があり、適切で、Web向けのフォーマットになっていれば、ユーザーはそのページを進んでスクロールするだろう。

NewYorkcares.org: ここにはアコーディオンの利用を正当化するほどのコンテンツはない。すべてのコンテンツを一度に見せることでページは少し長くなるだろうが、その結果、有益な情報が見えるようになり、ユーザーに見逃されることがなくなる。

ページが極端に長い場合には、アコーディオンはウィジェットとして適切ではないだろう。必要なのは、例えば、情報を複数の短いページで表示する等の別のナビゲーションアプローチだ。しかし、だからといってコンテンツをごく短いページに細切れにするなどという逆の方向に走ってはならない。

それでもアコーディオンをどうしても利用するというのなら、ユーザーが同時に複数のセクションを開いておけるように必ずしておこう。そうすればコンテンツのさまざまな部分をすぐに利用できる。そして、アイテムはユーザーがそれを変更するまでは、開いたままあるいは閉じたままになっていなければならない。

アコーディオンがよりふさわしいのは、あるページ上にユーザーの必要な重要コンテンツが数個しかない場合である。ほとんどのコンテンツを見えなくすることによって、重要な数個のトピックにユーザーが自分の時間を効率的に集中させられるようになるからである。

他にもアコーディオンが有益なのは、モバイルデバイスのように、情報のためのスペースが非常に狭い面積に制限されるときである。小さい画面では、ページが極端に長いと、ユーザーは最後まで行き着く前にスクロールをやめてしまうことが多い。ページにある情報の関連度が漠然としていると、自分の関心のある情報がページの下のほうにあるかどうか、ユーザーには見当がつかないことが多い。そうなると、彼らは全部を流し読みする前に見るのをやめてしまう。こうした場合、極端に長いページというのはユーザーエクスペリエンスに悪影響を及ぼす。情報を折りたたむことはこれの良き代替案となる。大量にスクロールする機会を最小限に抑え、そのページで利用可能なコンテンツをユーザーが概観できるようになるからである。モバイルで読むのは2倍難しいが、アコーディオンの提供するミニIAによって、ユーザーはページの構造が理解しやすくなり、重要な情報に集中できるようになるのである。

結論

アコーディオンはコンテンツが長いページを短くする良い解決策のように見える。しかしながら、そのページのコンテンツ全体がユーザーに関係があるときには、全部のコンテンツを一度に見せるほうがメリットがある場合が多い。そうすることでページが長くなっても、だ。デスクトップでは、単にページをスクロールすることのほうが、どのトピックをクリックするかを判断するよりも容易だ。我々の実施したユーザビリティ調査やアイトラッキング調査によると、情報が有益で、流し読みに適したフォーマットになっていれば、ユーザーはスクロールをするものである。

さらに学ぶ

調査レポート(英文)

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