焦点:親ロ派の支援要請に沈黙のプーチン大統領、目的達成か
[モスクワ 7日 ロイター] - ウクライナ政府軍が同国東部スラビャンスクの拠点を奪還する3週間前、親ロシア派武装勢力の司令官はロシアに軍事的支援を懇願した。
「1週間、2週間、3週間、もしくは1カ月が過ぎれば、遅かれ早かれ反逆の兵士たちは破滅するだろう」。イーゴリ・ストレルコフ大佐として知られる親ロ派司令官は、インターネット上でこのように訴えた。
しかし、ロシアのプーチン大統領は沈黙したままだった。そして5日、ストレルコフ大佐率いる武装勢力はスラビャンスクを追われることになる。
こうした出来事は、ウクライナのポロシェンコ大統領による親ロ派武装勢力の掃討作戦にとってターニングポイントになり得るだけではない。プーチン大統領がクリミア併合の再現を望んではおらず、西側からの追加制裁を回避するため、そして国境付近の不安定化のリスクを軽減するために、危機を沈静化させようとしていることを示唆している。
プーチン大統領は過去数週間、国境付近に集結させていた兵士の大半を撤退させ、ウクライナでの武力行使を認める決議を撤回するよう議会に求めたほか、西側との外交努力を続けている。
軍事介入に再びかじを切ることはせずとも、プーチン大統領はロシア国内で人気を失うことなしに、面目を保ちながら、ウクライナ危機を軽減させる方法を見いだしたように見える。
かつてクレムリンの顧問だったアンドレイ・イラリオノフ氏は5日、リベラル系ラジオ局のウェブサイトに掲載したブログで「ウクライナへの4カ月に及ぶ侵攻の末、プーチン氏は運命の分かれ道にいることに気付いた」と指摘。親ロ派武装勢力を見捨てることはロシア国内での支持を失う恐れがあるだけでなく、反プーチン勢力を勢いづかせることにつながりかねないが、軍隊を派遣し援護するというもう1つの選択肢では、西側との対立が不可避だと述べた。
<侵攻の恐れは後退> 続く...