アパレル業界ではパンツ、スカートなど下半身に穿くものを総称して「ボトムス」と呼ぶが、レディースボトムスの股上が今春夏トレンドでは上昇している。平たく言うとハイウエスト化している。このまま股上はハイウエスト化するのだろうか。
ボトムスの股上は、ここ10年以上ずっと低めが標準だった。2000年頃、ローライズとかヒップハングと呼ばれる股上の浅いジーンズがブームとなった。先にブームに飛びついたのは女性である。そこから少し遅れてメンズのジーンズもローライズ化した。2000年より前のジーンズは股上が深かった。レディースだとウエストのくびれの位置まですっぽりと包まれるくらいの深さがあった。メンズもオヘソが隠れるかどうかくらいの深さがあった。
今はもう手元にないが、筆者が95年頃に購入したボブソンのレーヨンソフトジーンズ「04ジーンズ」はかなり股上が深かったことを記憶している。傷みがあまりなかったので2000年過ぎごろまで所有していたが、その当時のトレンドモデルに比べると股上がかなり深かったため、思い切って捨てた。
今春夏トレンドのレディースのハイウエストボトムスを見ていると、前ボタンを3つ、4つと複数個縦に並べることでハイウエスト化させているものが多い。パンツに限らずスカートもそうである。通常の1つボタンのハイウエストボトムスよりもデザイン面でのインパクトが強い。ただ、どのブランドもそろってそのデザインを使用しているので、このデザインが短期間ですたれる可能性は高いと考えられる。
先日、「きょうのわんこ」のコーナーを目当てに「めざましテレビ」を流しながら朝の支度をしていたら、ハイウエストボトムスが流行していると紹介していた。番組内では前ボタンが縦に3つ、4つと並んでいるタイプが主流だった。
今秋冬もハイウエストボトムスは各ブランドからそれなりに注目を集めている。ただし、前ボタンが複数個付いたものが流行するかどうかはわからない。もっとシンプルに前ボタンが1つだけのものにトレンドが移る可能性もある。
少し前になるが、4月下旬に「リー」の今秋冬展示会にお邪魔した。アメリカのカウボーイをイメージさせる「リー」ブランドは、40代以上のジーンズファンにとってはメンズジーンズの印象が強いかもしれないが、今の「リー」の堅調を支えているのはレディース顧客である。
その「リー」は今秋冬企画でハイウエストジーンズも提案している。前ボタンは1つしかないから40代消費者からすると20年くらい前のジーンズに見える。トレンディドラマが最盛期だったころのスタイルとそっくりである。ただし、ハイウエストジーンズ一辺倒ではない。従来のローライズも健在である。